まだまだ残暑の厳しい9月ですが、夜はだいぶ過ごしやすくなりましたね。
9月は、日々形を変えながら夜空を移動していく月と、その近くに見える天体に注目してみてください。
10日の中秋の名月前後、月は土星や木星の近くに見えます。木星は27日に衝となり、これからが見頃となります。さらに月は、17日には火星の近くに見えます。このとき、火星の近くにはおうし座の1等星アルデバラン、ヒアデス星団も見えています。
4日 | 上弦 |
8日 | 白露(太陽黄経165度) |
10日 | 中秋の名月/満月/水星が留 |
17日 | 海王星が衝 |
18日 | 下弦 |
23日 | 秋分の日/秋分(太陽黄経180度)/水星が内合 |
26日 | 新月 |
27日 | 木星が衝 |
惑星の見どころ
水星
上旬から中旬にかけて、日の入り後の西の低空に位置しています。23日に内合となり、以後は日の出前の東の低空に位置するようになります。高度が低く観察は難しいでしょう。
金星
日の出直前の東の低空に位置していますが、見かけの位置が太陽に近く、観察は難しいでしょう。
火星
おうし座を東に移動しています(順行)。真夜中の東の空に見え、明るさはマイナス0.1等からマイナス0.5等。
木星
うお座とくじら座の境界付近を西に移動し(逆行)、27日に衝となります。真夜中の南の空に見え、明るさはマイナス2.9等。
土星
やぎ座を西に移動しています(逆行)。宵の南東の空に見え、明るさは0.4等から0.5等。
※国立天文台Webサイトより引用
月が土星、木星に接近!
9月10日の中秋の名月の前後にかけて、月が土星、木星に相次いで接近します。
この頃の東京では21時頃に土星は南南東の空に、木星は東南東の空に見えています。月は8日に土星の近くに見え、中秋の名月(今年は満月)の翌日である11日には木星の近くにまで移動します。満月前後の月はたいへんまぶしく見えるのですが、明るい月のそばに輝く2つの惑星を見つけてみてください。
今年の中秋の名月は満月!
2022年の中秋の名月は、9月10日です。(中秋の名月とは、太陰太陽暦の8月15日の夜に見える月のことを指します。)
中秋の名月をめでる習慣は、平安時代に中国から伝わったと言われています。日本では中秋の名月は農業の行事との結びつきがあり、里芋の収穫を祝う行事でもあるので「芋名月」と呼ばれることもあります。
お月見と言えば月見団子ですが、里芋も白くて丸いという共通点がありますね。
ところで、今年の中秋の名月は満月と同じ日ですが、実は、中秋の名月と満月の日付がずれることは、しばしば起こります(例えば、2024年は、中秋の名月が9月17日、満月が9月18日と日付がずれます)。これは以下の理由のためです。
- 中秋の名月は太陰太陽暦の日付(新月からの日数)で決まるが、満月(望)は、太陽、地球、月の位置関係で決まる。
- 月の公転軌道が楕円形であり、新月(朔)から満月(望)までにかかる日数が13.9日から15.6日と大きく変化する。
また、太陰太陽暦の9月13日の夜を「十三夜」と呼び、日本ではその夜にもお月見をする習慣があります。十三夜は、「後(のち)の月」「豆名月」「栗名月」とも呼ばれます。今年の十三夜は、10月8日です。
今年の中秋の名月は、明るい満月と近くに輝く木星や土星を眺めてみてくださいね。
月が火星に接近!
9月中旬、真夜中の東の空には2022年12月に地球最接近となる火星が見えています。火星の明るさはすでに0等級に達しているため、東の空で赤く輝く姿がすぐに目に付きます。火星の少し右側には、オレンジ色に輝くおうし座の1等星アルデバランがあります。アルデバランは火星よりもやや暗いものの、赤っぽい2つの星が並んで輝く様子はとても目を引きます。アルデバランの周辺は「ヒアデス星団」という星の集団です(ただし、アルデバランは星団には含まれていません)。 ヒアデス星団はおうし座の顔を形作る星団で、V字型に並んだ暗い星を中心に、肉眼で見ても星がまばらに群れている様子がわかります。
月は、16日の夜に火星やアルデバランの近くに見えます。16日の東京での月の出は21時過ぎと遅いため、真夜中を過ぎて日付が17日に変わった頃の方が月の位置が高く、見やすくなります。
この日は月、火星、アルデバラン(+ヒアデス星団)が、10度ほどの範囲にあります。また、月よりも少し空の高い位置にあるプレアデス星団(すばる)は、双眼鏡で美しく見える星団です。下弦前の月が近くにあるため、星団の星々を肉眼で見つけることは難しいかもしれませんが、ぜひ、双眼鏡を使って観察してみてください。
木星の観察シーズンが到来!
太陽系最大の惑星、木星が9月27日に「衝(しょう)」を迎え、これからが見頃となります。(衝とは太陽系の天体が、地球から見て太陽とちょうど反対側になる瞬間のことです。)
衝の頃の木星は約マイナス3等の明るさで輝き、明るい星の少ない秋の星座の領域で、大きな存在感を放っています。
衝の頃の惑星は、地球との距離が近く見かけの直径(視直径)が大きくなっており、光っている部分を正面から見るため陰になる面積が少ないなどの理由で、明るく見えます。また、日の入りの頃に東の空から昇って真夜中に南中し、日の出の頃に西の空に沈むため、一晩中見ることができます。
望遠鏡を使って木星を観察すると、木星の表面には何本かの縞模様(しまもよう)が見えます。また、木星本体から少し離れたところには、4つの衛星が見えます。イタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが発見したことから「ガリレオ衛星」と呼ばれています。ガリレオ衛星は木星の周りを公転しているため、時間がたつにつれて位置関係が変わっていく様子を観察することができます。
太陽系最大の木星の縞模様をぜひ観察してみてください。
9月は比較的明るい星が少ない時期ですが、明るい満月の中秋の名月には満月に見立てた月見そばを食べて、月見酒を片手に夜空を観察するのも乙なものです。
ちなみに月見酒は、月見をしながら楽しむお酒のこと。「神様に豊作を感謝し酒を酌み交わす」という意味で、月見団子や果実などのお供え物と一緒に酒をお供えします。お酒の種類に決まりはありませんが、秋の酒である「ひやおろし」が定番です。ひやおろしとは、春先に加熱殺菌した酒を夏の間熟成させ、秋に出荷する酒のこと。
美しい満月を眺めながらひやおろしを飲むなんて最高ですね!