朝晩の寒暖差が激しくなってきて、秋の訪れを感じるようになった10月。日の入りの時刻もずいぶん早くなってきました。
日の入り後、空が暗くなって間もない頃は、空の高い位置にまだ夏の大三角が見えており、夏の名残も感じます。その一方で、東の空は秋の星座たちが占めるようになりました。
日が暮れると、南東の空に落ち着いた明るさの土星が、東の空には明るい木星が見えてきます。また、明け方の空には金星がとても明るく輝いています。それぞれの惑星に月が近づく様子も見てみましょう。
そして、29日の未明には、ほぼ日本全国で見られる部分月食が起こります。
6日 | 下弦 |
8日 | 寒露(太陽黄経195度) |
15日 | 新月 / 金環日食(日本では見られない) |
20日 | 水星が外合 |
21日 | 土用の入り(太陽黄経207度) |
22日 | 上弦 / このころ、オリオン座流星群が極大(見頃は極大を中心とした前後数日間の夜半から未明。1時間に5個程度。月の条件は良い) |
24日 | 霜降(太陽黄経210度) / 金星が西方最大離角 |
29日 | 満月 / 部分月食(日本では全国で部分食が見られる。ただし、小笠原諸島などでは月入帯食となる) |
惑星の見どころ
水星
月初は日の出前の東の低空に位置していますが、中旬以降は徐々に高度を下げます。20日に外合となり、以後は日の入り後の南西の低空に位置するようになります。見かけの位置が太陽に近く、観察は難しいでしょう。
金星
日の出前の東から南東の空に見え、24日に西方最大離角となります。明るさはマイナス4.7等からマイナス4.4等。
火星
月初はおとめ座を東に移動し、下旬にはてんびん座に移ります(順行)。見かけの位置が太陽に近く、観察は難しいでしょう。
木星
おひつじ座を西に移動しています(逆行)。日の入りの少し後に東の空に昇り、真夜中は南東から南の空高く見えます。明るさはマイナス2.8等からマイナス2.9等。
土星
みずがめ座を西に移動しています(逆行)。宵の南東から南の空に見え、明るさは0.6等から0.7等。
※国立天文台Webサイトより引用
月が金星に接近!
10月は、明け方の東の空で、月と金星に注目してみましょう。
日の出前の東の空に金星がとても明るく輝いています。金星は24日に西方最大離角を迎え、太陽から最も大きく離れます。このころは、日の出前の金星の高度も高くなり、多くの人の目に留まるようになります。
10日と11日には、金星に月が接近し、大変目を引く光景となるでしょう。10日、月は金星の左上に位置しています。月の光る部分はほぼ真下を向いています。これは、秋の明け方の細い月の特徴です。
11日には月は金星の左へと移動します。10日より細くなったことがわかるでしょう。 金星のすぐ左上にはしし座の1等星レグルスもあり、月と金星の接近に彩りを添えています。
月のある上方はまだ暗い夜、少しずつ太陽の光が下方から見えはじめ、ブルーとオレンジのコントラストの中、その明るさに負けない月と金星の輝きがとても幻想的な光景となります。
月が土星に接近!
10月、日の入り後の南の空では、秋の星座の中に土星が見えています。土星は0.7等と、南の空では一番明るく見えています。土星の左下のやや離れた位置には、秋の星座で唯一の1等星、みなみのうお座のフォーマルハウトが見えています。土星よりやや暗い1.2等です。
土星もフォーマルハウトも際立って明るいわけではありませんが、南の空には他に明るい星がないため、これら2つの星がよく目につきます。
24日には月が土星に見かけ上近づきます。
上弦(半月)から2日経って月はかなり明るいのですが、月に負けずに光を放つ土星を見てみてくださいね。
10月29日の明け方は部分月食!
10月29日の明け方に部分月食が起こます。
部分食の始まりから終わりまでをほぼ日本全国で見ることができますので、ぜひ明け方の部分月食を鑑賞してみましょう。(小笠原諸島などでは、月が欠けたまま沈む「月入帯食(げつにゅうたいしょく)」となります。)
月食は、月が地球の影に入ることによって起こります。地球の影(本影)によって全て隠される「皆既月食」と、一部が隠される「部分月食」があります。今回起こるのは部分月食です。
今回の月食では、月の直径の12.8パーセントまでしか地球の影に入り込みませんので、あまり大きく欠けないうちに月食が終わります。
部分食が始まる(月が欠け始める)のは4時34.5分です。それから月は徐々に地球の影に入り込み、5時14.1分に月が最も欠けます(食の最大)。その後、月は徐々に地球の影から抜け出し、5時53.6分に部分食が終わります。多くの地域で、部分食が終わって間もなく月の入りとなります。特に部分食の終わり頃には月の高度がとても低くなりますので、西の空が開けた場所で観察するとよいでしょう。
この時間は夜と朝の境目。暗い夜空がだんだんと差し込む光に照らされ、とても幻想的な光景となります。ぜひ早起きして、部分月食と一緒に楽しんでみてください。
月が木星に接近!
10月は、20時頃に空を見渡すと、東の空にとても明るい星が輝いていることに気がつきます。この明るい星は木星です。
木星は、日の入り後、空が暗くなる頃に昇ってきて、真夜中を過ぎるまで最も明るい星として見えています。そして、明け方に金星が昇ってくるとその座を譲ります。
28日と29日には、木星に月が近づきます。
28日には、月は木星の右上にあり、翌日に満月となる月はとても明るく輝いています。少し離れたところにある木星ですが、満月の明るい光に埋もれることなく強く鋭い光を放っています。
29日、満月となった月は木星の左に移動して並びます。月は28日よりさらに木星に近い位置にありますが、それでも木星は肉眼ではっきりと見ることができるでしょう。
地球から何億キロも離れた木星の光がこれほど輝いて見えるなんて、改めて木星の大きさに驚かされます。
大変目を引く、月と木星の接近をぜひお楽しみくださいね。
10月は朝晩の寒暖差が激しく、とても気温が下がる日もありますが、比較的に星空鑑賞のしやすい気温です。温かくして、夜や明け方に幻想的な秋の夜空を眺めてみてくださいね。