2月の宵空は、明るい星々が輝く冬の星座たちに彩られています。夕方の西の空では、15日に最大光度を迎える金星が非常に明るく輝き、上旬まではその下方に土星も見ることができます。1日と2日には、細い月が夕空で金星と土星に接近し、美しい光景を楽しめるでしょう。
また、宵の空の高い位置には、明るい木星と火星が輝いています。7日には月が木星の近くに位置し、10日には火星のそばへと移動します。さらに、2月は、普段なかなか見る機会の少ないりゅうこつ座の1等星カノープスを観察するのに適した時期です。南の低空に短時間だけ現れるこの星を、ぜひ探してみてください。

1日 | 土星食(日本では一般に東北・関東・中部の一部地域以外で白昼に起こる) |
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2日 | 節分 |
3日 | 立春(太陽黄経315度) |
4日 | 木星が留 |
5日 | 上弦 |
9日 | 水星が外合 |
10日 | 火星食(日本では北海道の大部分と東北・中国・九州地方の一部地域で起こる) |
12日 | 満月 |
15日 | 金星が最大光度(マイナス4.9等) |
18日 | 雨水(太陽黄経330度) |
21日 | 下弦 |
24日 | 火星が留 |
28日 | 新月 / 金星が留 |
惑星の見どころ

水星
9日に外合を迎え、その後は日の入り後の西の低空に位置するようになります。月末にかけて徐々に高度を上げていきますが、太陽に近い位置にあるため、観察するのは難しいでしょう。

金星
日の入り後の南西から西の空に輝きます。月初の明るさはマイナス4.8等で、15日前後の最大光度時にはマイナス4.9等に達し、月末には再びマイナス4.8等となります。

火星
上旬から中旬にかけて、ふたご座を西へ移動(逆行)します。24日に留を迎え、それ以降は東向きの動き(順行)へと変わります。留の時期には、星空の中で火星の動きが止まっているように見えるでしょう。宵の東から南東の空に姿を現し、明るさはマイナス1.1等からマイナス0.3等まで変化します。月末には、日の入りから約3時間後に南中します。

木星
おうし座を西に移動中ですが(逆行)、4日に留を迎え、その後は東向きの動き(順行)へと転じます。この頃には、星空の中で木星が静止しているように見えるでしょう。宵の南東から南西の空に見え、明るさはマイナス2.5等からマイナス2.3等へと変化します。

土星
みずがめ座を東に移動中(順行)です。日の入り後は西の低空に見られますが、中旬以降はさらに高度が下がり、観察が難しくなるでしょう。
※国立天文台Webサイトより引用
月が土星、金星に接近

夕方の空で月と土星、金星が共演
2月上旬、日の入り後の西の空には、「宵の明星」として輝く金星が姿を見せます。その下方の低い位置には、土星も見ることができます。15日に最大光度を迎える金星はマイナス4.8等と非常に明るく、約1等の土星を探す際の良い目印となるでしょう。
1日には、宵の空で細い月が土星に接近します。また、この日の昼間、日本の東北・関東・中部の一部地域を除く地域では、土星が月に隠される「土星食」が発生します。青空の中で起こるため、肉眼では見ることができず、望遠鏡を使っても観測は困難でしょう。夕方の空では、まだ月が土星の近くに残っています。
2日には、前日より少し太くなった月が金星のそばに位置します。まばゆい輝きを放つ金星と細い月が並ぶ光景は、美しく印象的な眺めとなるでしょう。
月が木星、火星に接近

宵の空高く月が木星、火星に接近!
冬の星空には、多くの1等星が輝いています。今年はそれに加えて、宵の高い空に木星と火星が輝き、より一層にぎやかな夜空となっています。
マイナス2等級の木星は、おうし座のアルデバランよりもやや高い位置にあり、ひときわ明るく目立ちます。火星は木星ほどの明るさはありませんが、マイナス等級を保ち、ふたご座のカストルとポルックスの近くで3つの星とともに小さな三角形を作っています。
7日には、木星と半月を過ぎた月が並んで輝きます。どちらも明るいため、豪華な光景が広がるでしょう。また、9日から10日にかけて、月は火星のそばを通過していきます。12日には満月を迎えるため月の光が非常に明るくなりますが、マイナス等級の火星も十分に目立つでしょう。さらに、10日の明け方、西の超低空では、月が火星を隠す「火星食」が発生します。この現象は、日本では北海道の大部分や九州北部などで観察が可能です。
金星が最大光度

一番星を見つけよう!
日の入り後の西の空で「宵の明星」として輝く金星は、15日に最も明るくなる「最大光度」を迎えます。この時期の金星の明るさはマイナス4.9等に達し、1等星の100倍以上の輝きを放ちます。
満ち欠けする金星

金星は、地球よりも内側の軌道を公転する惑星です。地球から観察すると、金星は約1年7カ月の周期で満ち欠けを繰り返し、その見かけの大きさも変化して見えます。最大光度の時期に双眼鏡や望遠鏡で観察すると、金星は三日月のように欠けて見えるでしょう。
なお、金星を観察する際には、太陽が沈んでから行うことが重要です。太陽を直接見るのは非常に危険なので、十分注意してください。また、双眼鏡を使用する際は、カメラ用の三脚などに固定すると手ブレを防ぎ、より安定した観測ができるでしょう。
カノープスを見つけよう

カノープスを観察するチャンス!
りゅうこつ座のカノープス(マイナス0.7等)は、おおいぬ座のシリウス(マイナス1.5等)に次いで、夜空で2番目に明るい恒星です。しかし、日本では多くの地域でカノープスの南中高度(南の空で最も高くなるときの高度)が非常に低く、見つけにくい星として知られています。
カノープスが地平線の上に現れる北限は、平地では理論上北緯37.9度となり、おおむね福島県北端付近にあたります。それより北の地域では、カノープスは地平線より上に昇らないため観測することができません。一方で、南へ行くほど南中高度が高くなり、見つけやすくなります。
2月はカノープスを観察するチャンス
カノープスが夜更け前に南中する2月は、観察するのに最適な時期です。晴れた夜、南の空が開けた場所で探してみるとよいでしょう。条件が良ければ、南の地平線近くの低い位置(場所によっては地平線すれすれ)にカノープスを見つけることができます。冬の大三角やおおいぬ座のシリウスを目印にすると、より探しやすくなります。
カノープスの特徴
カノープスは白く輝く恒星ですが、空の低い位置に見えるときには地球の大気の影響を受け、実際の明るさよりも暗く、赤みがかって見えることがあります。
中国では、カノープスは「南極老人星(なんきょくろうじんせい)」と呼ばれ、「この星を見ると寿命が延びる」という言い伝えがあるそうです。
主な地点でのカノープスの南中高度と南中時刻(2月)
場所 | 南中高度 | 南中時刻(1日) | 南中時刻(11日) | 南中時刻(21日) |
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那覇 | 11.2度 | 22時06分 | 21時27分 | 20時47分 |
福岡 | 3.9度 | 21時55分 | 21時16分 | 20時36分 |
京都 | 2.5度 | 21時34分 | 20時54分 | 20時15分 |
東京 | 1.9度 | 21時18分 | 20時38分 | 19時59分 |
福島 | 0.1度 | 21時15分 | 20時36分 | 19時56分 |