オークリー（Oakley）の創立50周年を記念し、カリフォルニアの“インタープラネタリー・ヘッドクオーターズ”で開催されたイベントにて、オークリーとアクシオム・スペース（Axiom Space）は、次世代宇宙服「AxEMU（Axiom Extravehicular Mobility Unit）」に搭載されるバイザーシステムに関するパートナーシップを正式に発表しました。
アルテミスIIIミッションに向けたパートナーシップ
この画期的なコラボレーションでは、異分野の2社が協力し、NASAのアルテミスIIIミッションにおいて50年以上ぶりに月面へ向かう宇宙飛行士たちに、南極域探査に求められる最先端の安全性と視界の明瞭さを提供します。
オークリーは、雪山や強烈な日差しの中での過酷な環境に対応する製品を開発してきました。そして今回、同社は新たに宇宙という最も過酷なフィールドに挑戦します。AxEMUバイザーシステムにより、オークリーが50年間にわたり培ってきたパフォーマンスアイウェアの革新技術が、ついに月へと向かうことになります。
宇宙飛行士は、視覚的にも複雑で過酷な環境を航行する別次元のアスリートです。オークリーの高度な光学技術により、宇宙飛行士はこれまで以上に遠くまで、より鮮明に、そして恐れずに見ることができるようになります。アクシオム・スペースが開発する次世代宇宙服には、収納可能な2層式の展開バイザーが搭載されており、人類の宇宙探査の新たな時代に向けて設計されています。
キャンペーン動画
オークリーとアクシオム・スペースのコメント
「次に月面を歩く宇宙飛行士は、次世代のオークリーによる高解像度光学技術（HDO）を装着することになります。これは、決して軽んじることのできない責任です」と、オークリー先進製品開発部門 シニアバイスプレジデントのライアン・セイラー（Ryan Saylor）氏は語っています。「アクシオム・スペースとの共同開発は、歴史的なマイルストーンです。この革新的なバイザーは、何十年にも及ぶ飽くなきイノベーション追求の賜物であり、常識を超えた情熱と取り組みの証です。オークリーの光学性能と視覚精度に関する技術の蓄積をアルテミスIIIミッションに提供し、宇宙探査の未来に貢献できることを誇りに思います。」
「バイザーシステムをオークリーと共同開発できることを嬉しく思います」と、アクシオム・スペースの船外活動担当 エグゼクティブバイスプレジデントであるラッセル・ラルストン（Russell Ralston）氏は語っています。「オプティカルの分野で革新を続けてきたオークリーの専門性は、我々の宇宙服設計にとって非常に価値のあるものです。このユニークなパートナーシップは、革新的な企業との連携を通じて宇宙服の進化を進めていくというアクシオム・スペースの姿勢を象徴しています。」
このバイザーシステムは、光の屈折が地球とは異なり、影がより深くなる宇宙という視覚的に過酷な環境での使用を想定して設計されています。星明かりから直射日光までの幅広い光環境に対応し、有害な放射線から目を守りながら、クリアな視界と確実な防御を実現します。
AxEMUバイザーシステムの主な特徴
- シームレスにスライドする2層構造の収納式バイザーで、調整可能な保護性能を実現
- 過酷な光環境に対応する反射性のゴールドコーティング
- 強い日差し下でも視認性を向上させる可視光透過率の調整
- 視界のクリアさを保つヘイズ（かすみ）低減機能
- バイザー内面およびセカンダリーヘルメットバブルに多層コーティングを施し、保護性能を強化
- 月面の塵（レゴリス）から目を守る耐傷性コーティング
- 紫外線および月面の塵から宇宙飛行士を守るセカンダリーヘルメットバブル
若田光一氏のコメント
「宇宙では太陽の光が非常に強烈で、まるで目を突き刺すように感じます」と、アクシオム・スペースの宇宙飛行士であり最高技術責任者（CTO）の若田光一氏は述べています。「だからこそ、我々の眼を保護し、過酷な月面環境での作業を可能にする最大限の視界を確保するために、優れたバイザーシステムが必要なのです。」
月面探査の未来を見据えて
アクシオム・スペースは、オークリーの過酷な競技や厳しい自然環境での豊富な実績と専門性を高く評価し、パートナーとして選定しました。アルテミスIIIミッションでは、宇宙飛行士が赤外線、極端な温度、微小隕石から目を守りながら、鮮明な視界を得られるような、専用の視覚システムが必要です。AxEMUの高度なバイザーシステムは、こうした過酷な環境下で最高のパフォーマンスを支える重要な要素となります。
このコラボレーションは、人類の宇宙探査における技術革新の新たな基準を打ち立てるものであり、月面はもちろん、さらなる深宇宙探査への道を切り開く次世代への大きな一歩です。
企業情報
オークリー
1975年に創設され、カリフォルニア州に本社を構えるオークリー（Oakley）は、スポーツパフォーマンスとカルチャーの領域で世界的に評価されるブランドです。900件以上の特許を保有し、革新を追求する発明家たちによって導かれたオークリーは、人間の可能性の限界に挑む製品開発を続けています。視覚精度に優れた高解像度光学技術「High Definition Optics(R)(HDO)」や、視界を最適化する「Prizm(TM)」を搭載したアイウェアは、世界中のトップアスリートから厚い信頼を受けています。
また、サングラスや度付き眼鏡、ゴーグルだけでなく、アパレルやアクセサリーにも事業を展開し、デザイン性と機能性を兼ね備えた製品を提供。現在はエシロールルックスオティカグループの一員として、革新を継続しています。
アクシオム・スペース
アクシオム・スペース（Axiom Space）は、世界初の民間宇宙ステーション「アクシオム・ステーション」の建設を進めており、宇宙における人類の持続的な活動拠点として、革新的な研究と技術開発を支援します。また、国際宇宙ステーション向けに民間の有人宇宙飛行サービスを提供する主要なプロバイダーとして、月面および地球低軌道向けの先進的な宇宙服の開発も進めています。アクシオム・スペースは、人類の文明を地球外へと拡張することを目指して、グローバルな宇宙インフラの構築に取り組んでいます。
