【大阪・関西万博JAXA常設展示ブース】未来の宇宙を担うのは、今日ここにいる君かもしれない「月に立つ。その先へ、」Special Talk Session開催レポート

2025年7月20日(日)、大阪・関西万博JAXA常設展示ブースにて、「月に立つ。その先へ、」Special Talk Sessionを開催しました。本イベントは、1969年の人類初の月面着陸を記念する「月の国際デー」に合わせ、日本の宇宙探査に関わる技術者やクリエーターが集い、未来の月面探査や宇宙開発について語り合う特別な時間となりました。

会場では、映像に見入る子どもたちや、真剣に話を聞く大人たちの姿が見られ、まさに“宇宙に没入する時間”が広がっていました。「宇宙に行ってみたい!」「宇宙飛行士になりたい!」という夢あふれる声も多く聞かれ、次世代への憧れと好奇心の継承が感じられる一日となりました。

目次

開催概要

イベント名「月に立つ。その先へ、」Special Talk Session 第1回「小型月着陸実証機 SLIM」
日時2025年7月20日(日)17:00~21:00(3部構成)
会場大阪・関西万博 JAXA常設展示ブース(フューチャーライフヴィレッジ内)
主催JAXA(宇宙航空研究開発機構)
登壇者上坂 浩光(映像監督・CGクリエーター)
坂井 真一郎(JAXA宇宙科学研究所教授 元SLIMプロジェクトマネージャ)
渡辺 公貴(同志社大学 生命医科学部教授 元タカラトミー SORA-Q開発者)
櫛木 賢一(JAXA宇宙探査イノベーションハブ副ハブ長 元SLIMプロジェクトサブマネージャ)
竹井 陽子(JAXA宇宙探査イノベーションハブ)
杉山 絵里香(JAXA宇宙探査イノベーションハブ)
小川 瑞穂(JAXA宇宙探査イノベーションハブ)

第1部:「月に立つ。その先へ、」~宇宙を感じる映像新体験の裏側へ~

“感情で宇宙を伝える”映像表現の秘密に迫る!

大阪・関西万博向けに制作された宇宙映像「Space Theater」の舞台裏を紹介。映像監督・上坂浩光氏が、CGと実写を融合させた映像制作のこだわりや想いを語りました。会場では「まるで宇宙が目の前に広がっているようだった」という感動の声が多く寄せられ、映像表現が宇宙の魅力を伝える力を改めて実感させる時間となりました。

特に子どもたちからの鋭い質問に、上坂氏が笑顔で丁寧に答える場面が印象的でした。最後に上坂氏は「一生に一度はロケットの打ち上げを見てほしい」とメッセージを送り、会場全体を熱気で包みました。

第2部:SLIMが降り立った月面世界

開発者が語る“成功の裏側”と、“未来を切り拓くヒント”

2024年1月、「小型月着陸実証機 SLIM」が、月面へのピンポイント着陸に成功しました。このセッションでは、月面を目指してともに挑んだ2人の開発者──元SLIMプロジェクトマネージャの坂井真一郎氏(JAXA)と、SLIMと同時に月に着陸した「変形型月面ロボット LEV-2(愛称:SORA-Q)」の開発者である渡辺公貴教授(同志社大学/元タカラトミー)が登壇。また、現在大阪・関西万博JAXA常設展示ブースで上映中の宇宙映像「Space Theater」の制作を手がけた映像監督・CGクリエーターの上坂浩光氏がモデレーターを務め、月面着陸に至るまでの開発秘話や当日の舞台裏について語り合いました。

坂井氏は、SLIMの着陸を「20年の歳月をかけて準備してきた成果が試される、わずか20分の出来事だった」と振り返ります。当初計画した着陸地点とはややずれた着陸となりましたが、その経験をチームとして真摯に受け止め、原因を徹底的に究明。「その過程で、今後の宇宙開発でも役立つ貴重な知見も手に入った」と語りました。

一方、渡辺教授は、SORA-Qの開発を始めた2015年当時を振り返りながら、「月面でどんな状態であっても、必ず起き上がって前に進むことができる――それがSORA-Qの設計思想でした」と解説。ウミガメやアヒルの動作をヒントに、独自の変形機構を組み込んだといいます。また、SORA-Qが月面で撮影したSLIMの写真を紹介しながら、「これは数多く撮影した中から、SORA-Q自身が“この画像なら地球に送る価値がある”と判断して選んだ一枚です」と話し、ロボットの自律性と技術の進化を印象づけました。

宇宙開発は、一つひとつの挑戦が長い年月と失敗の積み重ねによって成り立っています。今回のセッションでは、開発者たちの情熱と粘り強さ、そしてその努力が生んだ成果が余すところなく語られました。月面着陸の裏にある数々のドラマは、挑戦し続けることの意義と、科学が私たちの未来にもたらす希望の力を、あらためて感じさせてくれる貴重な機会となりました。

第3部:SORA-Q月面ミッションチャレンジ

動かして、感じる。SORA-Q操作体験で探査ミッションに挑戦!

月にいる「小型月着陸実証機 SLIM」と「変形型月面ロボット LEV-2(愛称:SORA-Q)」に思いを馳せながら、参加者はSORA-Qの1/1スケールモデル「SORA-Q Flagship Model」(発売元:株式会社タカラトミー)操作体験に挑戦。仮想の月面上でミッションにチャレンジしました。

SORA-Q Flagship Modelが動き出すと、「おー!すごい!!」といった驚きと興奮の声が場内に響き渡り、ミッションが成功した瞬間には大きな歓声が沸き起こりました。会場は終始、笑顔と熱気に包まれていました。
ミッションに夢中になって取り組む子どもたちの姿からは、未来の探査者たちの芽生えを感じさせられました。また、目を輝かせながらJAXAの研究者と真剣に言葉を交わす参加者たちの様子は、宇宙への憧れが“自分ごと”として芽生える瞬間を物語っていました。

体験に参加したお子さんは、「宇宙に行ってみたい!」という新たな夢を抱いたと話し、SORA-Qの開発者・渡辺公貴教授(同志社大学/元タカラトミー)からの「まずは簡単なことから始めるといいよ」というアドバイスが心に残ったと話してくれました。

上坂 浩光 氏(映像監督・CGクリエーター)から皆様へのメッセージ

大阪・関西万博のJAXA常設展示ブースに、何度も足を運んでくださる方々の反応から、大きな手ごたえを感じています。作品に込めた想いをしっかり受け取ってくださっているのが伝わってきます。

JAXAの宇宙探査はもちろん、私たち自身もまた、宇宙という大きな存在の中で生きている──そんなことを感じていただけるきっかけになれば、これほど嬉しいことはありません。
ぜひ、大阪・関西万博のJAXA常設展示ブースに足を運び、高精細ビジョンが映し出す映像と空間を、体感してください。この場でしか得られない“宇宙の実感”を味わっていただけたらと思います。

また、ロケットが宇宙に飛び立つ姿を多くの方々に見ていただきたいと強く思います。ロケットの打ち上げには、宇宙そのものを感じる瞬間があります。噴射の光とエネルギーは、まるで太陽が目前に現れたかのようで、圧倒的なスケール感に包まれます。そして、見た人に、感動をもたらします。

「宇宙に没入できる空間」で、皆様の訪問をお待ちしております。

JAXA常設展示ブースでは、宇宙に「触れられる」「感じられる」体験を今後も展開予定です。
今回のような特別セッションをはじめ、次世代を担う子どもたちに宇宙の魅力を伝えるためのコンテンツを継続的に実施してまいります。映像、体験、対話と、JAXA常設展示ブースでは、“未来の探査者”と出会うためにあります。まだの方はぜひ、この「宇宙に没入できる空間」へ、ご家族・ご友人とお越しください。

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