「種子島宇宙芸術祭2025」でトークイベントも開催 「だいち4号×たねがしまの流れ星」や「宇宙建築×ルナグラス」をテーマに宇宙技術とアートの接点を深掘り

11月に開催された「種子島宇宙芸術祭2025」(主催:種子島宇宙芸術祭実行委員会)では、世界各国で活躍するアーティスト21組による31作品の展示に加え、宇宙航空分野の第一線で活躍する研究者や技術者を招いたトークイベントも実施されました。

目次

2025年11月9日(日)15:00-16:00 JAXA種子島宇宙センター宇宙科学技術館

(写真右から)大木真人氏:JAXA地球観測研究センター主任研究開発員、だいち愛を語る 鈴木浩之氏:金沢美術工芸大学教授、有川善久氏:JAXA第一宇宙技術部門 推進事業部 計画マネージャー、有留摩耶:種子島宇宙芸術祭実行委員会

「だいち4号×たねがしまの流れ星」トークイベント

2025年11月9日(日)15:00-16:00、JAXA種子島宇宙センター宇宙科学技術館にて、「だいち4号×たねがしまの流れ星トークイベント」が行われました。

本イベントは、「種子島宇宙芸術祭2025」に出展された作品「たねがしまの流れ星」をテーマに開催。作品を制作した鈴木浩之氏・大木真人氏と、先進レーダ衛星「ALOS-4(だいち4号)」のプロジェクトマネージャーを務めた有川善久氏が登壇しました。

  • 大木真人氏:JAXA地球観測研究センター主任研究開発員
  • 鈴木浩之氏:金沢美術工芸大学教授
  • 有川善久氏:JAXA第一宇宙技術部門 推進事業部 計画マネージャー
  • 有留摩耶:種子島宇宙芸術祭実行委員会

「たねがしまの流れ星」は、鈴木氏と大木氏による共同プロジェクトで、人工衛星の観測画像を用いて地上に「流れ星」のアニメーションを描くインタラクティブアート作品です。陸域観測技術衛星「ALOS-2(だいち2号)」および先進レーダ衛星「ALOS-4(だいち4号)」を活用し、専用に制作した電波反射器をJAXA種子島宇宙センター敷地内に設置することで撮像が行われました。

複数回にわたり取得された観測画像をもとに制作された本作品では、JAXA種子島宇宙センターの広大な敷地に「流れ星」が描き出され、宇宙技術と芸術表現が融合した新たな試みとして注目を集めました。

トークイベントでは、「だいち2号」の開発にも携わってきた有川氏より、衛星開発にかける想いや、「だいち4号」をはじめとする今後の地球観測衛星の展望について語られました。また、「たねがしまの流れ星」プロジェクトの今後の可能性についても意見交換が行われ、さらなる進化を予感させる内容となりました。

会場では観客からの質疑応答の時間も設けられ、人工衛星の運用や活用をより身近に感じられる機会となり、宇宙技術とアートの接点を深く知る有意義なトークイベントとなりました。

登壇者

  • 鈴木浩之氏:金沢美術工芸大学教授
  • 大木真人氏:JAXA地球観測研究センター 主任研究開発員
  • 有川善久氏:JAXA第一宇宙技術部門 推進事業部 計画マネージャー

トークの中では、有川氏による著書『導く力 プロジェクトマネジメントで大切なことは宇宙が教えてくれた』の紹介も行われました。執筆に至った経緯や、書籍を通して伝えたい想いについて語られ、絶対に失敗が許されない宇宙開発プロジェクトを率いてきた経験に基づくマネジメントの考え方が紹介されました。同書は、プロジェクトを率いる立場にあるリーダーのみならず、幅広い分野で挑戦を続ける人々に向けたメッセージが込められた一冊です。

著書導く力 プロジェクトマネジメントで大切なことは宇宙が教えてくれた
発行JTBパブリッシング
販売https://www.amazon.co.jp/dp/4533168752

制作風景として、「だいち4号による撮像を待つ電波反射器」も紹介されました。下記リンクより、作品制作風景や、種子島宇宙センターにおける初期の射点や打上げの様子を知る南種子町民へのインタビューなども収められています。

制作風景:だいち4号による撮像を待つ電波反射器

作品制作ドキュメント動画:https://youtu.be/Zo3USILiMXM

2025年11月9日(日)19:00-20:00 宇宙ヶ丘公園メインステージ

大野琢也:鹿島建設株式会社 イノベーション推進室 担当部長(宇宙)

「宇宙建築×ルナグラス」トークイベント

2025年11月9日(日)19:00-20:00、宇宙ヶ丘公園メインステージにて「宇宙建築×ルナグラス」トークイベントが行われました。

本トークイベントでは、人工重力居住施設の研究に取り組む大野琢也氏(鹿島建設株式会社 イノベーション推進室 担当部長(宇宙))が登壇しました。人工重力の第一人者として知られる大野氏は、鹿島建設株式会社と京都大学が進める、月や火星での生活を見据えた人工重力居住施設の共同研究に参画しており、人類が宇宙空間や月面で暮らす未来について語りました。

月面で生活するためには、空気が存在しないこと、放射線・隕石の影響、激しい温度差など、さまざまな課題があるとされます。その中でも大野氏が特に重要な課題として挙げたのが「低重力」の問題です。低重力環境では筋力や骨量が低下し、地球の重力下では歩行が困難となる身体へ変化してしまう可能性があると説明しました。

さらに、低重力環境が長期化することで、月面でしか生活できない人々が生まれてしまう可能性にも言及し、人工重力施設にこだわる理由について「人類の分断を避けたいからだ」と語りました。人類が将来にわたって同じ重力環境を共有し続けることの重要性を訴える内容となりました。

中学生の頃から人工重力の必要性を考え研究を続けてきた大野氏の言葉は、会場に集まった子どもたちにとっても、遠い未来の話ではなく、自らが関わるかもしれない現実として受け止められる機会となりました。

人工重力居住施設「ルナグラス」の完成イメージとして、施設全体は幅557.46m、高さ535.78mであること、そのうち合力1Gとなる「ルナポイント」は半径100mのエリアで、1分間に3回転することで人工重力を発生させ、約1万人を収容できると紹介されました。(提供:鹿島建設)

種子島宇宙芸術祭とは

種子島宇宙芸術祭は、JAXA種子島宇宙センターを有する南種子町で発足しました。最先端科学や多分野の技術者と間近に接することのできる環境の中で、科学技術だけでなく文化・芸術の視点で宇宙を捉え、既成概念に捉われない発想を生み出す場を提供することを目的としています。宇宙に一番近い島「種子島」を舞台に、目の前に広がる宇宙と、種子島の大自然に融合するアート作品が未知の空間を生み出します。

種子島宇宙芸術祭2025

種子島宇宙芸術祭実行委員会(所在地:鹿児島県熊毛郡南種子町)は「種子島宇宙芸術祭2025」を2025年11月8日(土)~24日(月)に開催しました。

「未知と出会いに」というスローガンのもと、宇宙芸術と種子島の大自然が融合した空間を体験していただき、宇宙を身近に感じ、未来への期待を抱く時間を過ごしていただく機会を提供しました。今年のイベントテーマは「予感」。

世界各国で活躍するアーティスト総勢21組、パフォーマンスを含む作品点数31点が出展されました。天候にも恵まれ、種子島の自然と融合した作品群を堪能された多くの来場者から好評を得ました。

プログラム・内容

今年は南種子町内の4つの会場で開催されました。

宇宙ヶ丘公園パフォーマンスを含む11作品。ステージイベント、地元食材を使った飲食店ブース、グッズ販売なども出店。
JAXA種子島宇宙センター屋外エリア千田泰広氏による大型作品を巡る特別ツアーを実施。種子島の大自然と融合した作品群を音響体験とともに巡る新しい鑑賞スタイルを提供。
千座の岩屋スーパープラネタリウム星の洞窟イベント。自然が作り出した海蝕洞窟内で、プラネタリウム・クリエーター大平貴之氏が開発した1000万個の星を映し出すMEGASTARが、種子島の自然美とスーパープラネタリウムの人工美が融合した唯一無二の空間を創出。
JAXA種子島宇宙センター宇宙科学技術館地球観測衛星だいちを利用したアート作品、映像作品、インスタレーションなど11作品を展示。展示作品をテーマとしたトークイベントも開催。※作品アーカイブ準備中。

種子島紹介動画

「Breath of the Island」 2024  Artist:中元悠仁

▪️参加アーティスト

千田泰広、大平貴之、奥中章人、Noh Sanghee、篠崎理一郎、FLIGHTGRAF、山下コウセイ・今福弘樹、NIL、平川渚、鈴木浩之・大木真人、山上渡×永利光、黒川隆介、藤崎了一、吉本英樹、中村哲也、うきも-Project-、中元悠仁、小阪淳、篠田守男、開発好明、JAXAいいものつくり隊、浦邊あゆみ

ステージイベント

日時11月15日(土)19:20~20:00
11月16日(日)19:00~20:00
会場宇宙ヶ丘公園 円形広場ステージ
出演アーティストうきも-Project-(谷口界、麻風、野瀬山瑞希)

トークイベント登壇者

登壇者鈴木浩之/金沢美術工芸大学大学教授
大木真人/国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 地球観測研究センター 主任研究開発員
有川善久/国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 第一宇宙技術部門 事業推進部 計画マネージャー
大野琢也/鹿島建設株式会社 イノベーション推進室 担当部長(宇宙)

▪️団体概要

主催種子島宇宙芸術祭実行委員会
共催南種子町、南種子町教育委員会、南種子町商工会、南種子町観光協会南種子支部、南種子町定住促進実行委員会、種子島大学実行委員会
協力国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)

−種子島宇宙芸術祭実行委員会−

事務局長兼アートディレクター/文化交流アンバサダー有留 摩耶
事務局次長兼渉外・
マーケティング責任者
西田 恵
経理管理責任者兼アート&
コミニュケーションディレクター
中尾いちこ
経理管理補助加冶屋 美香
総合ディレクター小山田裕彦(株式会社インターンプラン・取締役 プロジェクトプロデュース室長)
アドバイザー小早 太(合同会社maimai企画)
大塚 成志(JAXAワークライフ変革推進室/総務部参事)
吉本 英樹(デザインエンジニア、TANGENT創業者、東京大学先端科学技術研究センター 先端アートデザイン分野特任准教授)

公式情報

  • HP:https://satfes.jp/
  • Instagram:https://www.instagram.com/space.art.tanegashima/
  • youtube:https://www.youtube.com/@satfes
  • Facebook:https://www.facebook.com/space.art.tanegashima?locale=ja_JP
  • X:https://x.com/satfes2022
宙クリップ

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