ニコン、生細胞観察装置がISS搭載へ 微小重力が創薬に与える影響を研究

株式会社ニコンおよび米国子会社Nikon Instruments Inc.が開発した生細胞観察装置が、国際宇宙ステーション(ISS)で実施される微小重力研究に採択されました。本装置は2026年4月9日に打ち上げ予定の補給ミッションに搭載され、宇宙環境における細胞や組織の挙動を観察する実験に活用されます。創薬やライフサイエンス分野において、宇宙環境を活用した研究の進展が期待されます。

株式会社ニコンおよびその米国子会社であるNikon Instruments Inc.(NII)が開発した生細胞観察装置が、Center for the Advancement of Science in Space(CASIS)の支援を受けた「ライフサイエンスおよび創薬分野における微小重力の影響に関する研究」に採択されました。

CASISは国際宇宙ステーション(ISS)内の米国国立研究所を運営する機関であり、米国航空宇宙局(NASA)と協定関係にあります。本装置は、NASAとの契約に基づくNorthrop Grumman Corporationによる商業補給サービス「NG-24」ミッションに搭載され、2026年4月9日に米国フロリダ州ケープカナベラル宇宙軍基地からISSに向けて打ち上げられる予定です。

本ミッションでは、生細胞や組織の培養・維持・観察に用いる顕微鏡観察システムの基礎的な運用検証が実施されます。

目次

宇宙開発で培われたニコンの技術

1971年のアポロ15号のミッション以来、ニコンのカメラとレンズはNASAのさまざまなミッションやスペースシャトルにおいて使用されてきました。近年では、ミラーレスカメラのフラッグシップ機「ニコン Z9」がISSで活躍しています。

こうした高い信頼性と技術力は顕微鏡分野にも活かされており、ニコンはこれまでISSで使用される顕微鏡の提供実績を持っています。2021年には、CASISが支援し米国政府の助成を受ける「民間企業を対象としたISS開発支援プロジェクト」にも採択されました。

今回の研究では、ISS実験棟という限られた空間において、細胞の挙動や生体組織の薬剤反応を長期的かつ視覚的に解析できる装置開発が主眼となっています。プロジェクトの運営はNII、装置開発はニコンとNIIが担当しています。

ISSで稼働する観察システム「NEMO」

ISSでは、ニコンの生細胞観察装置と、米国コロラド州ボルダーのBioServe Space Technologies(BioServe)が開発した細胞培養インキュベーターおよび培地灌流システムを組み合わせたシステム「NEMO(Nikon Experimentation Microscope in Orbit)」が使用されます。

BioServeの装置が細胞にとって最適な環境を維持し、ニコンの生細胞観察装置が顕微鏡として機能することで、宇宙空間における細胞や生体組織の挙動を高精度に観察・解析することが可能となります。

本システムでは、MPS(Microphysiological Systems)と呼ばれる、生体内環境を模した3D培養システムを用いた観察が行われます。

微小重力研究が創薬にもたらす可能性

生体組織に対する重力の影響を理解することは、人類の地球外活動を推進するうえで重要な研究テーマです。さらに、生命の老化現象や疾患の原因解明にもつながる可能性があり、医薬品開発を目指す製薬企業やバイオテック企業などからも注目されています。

微小重力環境では、地上とは異なる細胞の挙動や組織反応が観察されるため、新たな創薬ターゲットの発見や、薬剤評価の高度化につながることが期待されています。

ニコンは、本プロジェクトを通じて得られる技術や知見を活かし、宇宙と地上をつなぐライフサイエンス研究の発展と技術革新への貢献を目指すとしています。

宙クリップ

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