毎朝のぼってくる太陽。あまりに当たり前の存在なので、改めて「どんな星ですか」と聞かれると、意外と答えに困りませんか。たとえば、こんな謎があります。焚き火は火から離れるほど温かさが弱まるのに、太陽は表面から離れた外側のほうが、表面より何百倍も熱いんです。
今日はこの身近で不思議な星を、大きさのたとえ話から、木もれ日に映る太陽の形、そして安全な観察のしかたまで、順番にご案内します。
太陽は太陽系の中心にある恒星で、地球から平均1億4960万km(1天文単位)の距離にあります。直径は約139万kmで地球の約109倍、質量は地球の約33万2900倍です。表面(光球)は約5500℃ですが、外側のコロナは約200万℃に達します。望遠鏡や双眼鏡で直接のぞくと失明のおそれがあるため、観察には必ず太陽専用の道具を使います。
最初に、いちばん大切なお約束をさせてください。太陽を肉眼で直接見てはいけません。たとえ数秒でも、目を痛めてしまいます。
望遠鏡・双眼鏡・ファインダーで太陽をのぞくのは、もっと危険です。光と熱を集めてしまうので、最悪の場合は失明します。サングラスや色つき下敷きも、代わりにはなりません。安全な見方は、このページの「太陽の観察方法」でゆっくりご説明します。

太陽の基本データ
| 分類 | 恒星(G2V型の主系列星) |
|---|---|
| 直径 | 約139万km(平均半径69万5700kmの2倍。地球の約109倍) |
| 質量 | 約1.99×1030kg(地球の約33万2900倍) |
| 体積 | 地球の約130万倍 |
| 平均密度 | 1.41g/cm³(1408kg/m³) |
| 距離(地球からの平均距離) | 1億4960万km(最小1億4710万km、最大1億5210万km) |
| 自転周期 | 赤道で約25日、極で約36日 |
| 公転周期 | ―(太陽は太陽系の中心にある恒星) |
| 表面温度(光球) | 約5500℃(有効温度5772K) |
| コロナの温度 | 約200万℃ |
| 中心の温度 | 約1500万℃ |
| 自転軸の傾き(黄道面に対して) | 7.25度 |
| 年齢 | 約46億年 |
| 黒点周期 | 約11年(11.4年) |
| 見かけの等級 | −26.74等 |
太陽とはどんな天体か
直径1mの玉にすると、地球は107m先のビー玉ほど
数字が大きすぎて実感がわかないので、ここで縮めてみましょう。太陽を直径1mの大玉にすると、地球は直径およそ9mm。ちょうどビー玉くらいです。置き場所は、大玉から約107m先。学校の校庭の端から端まで離れたところに、ぽつんとビー玉が一つある。それが太陽と地球の関係です。

体積で比べると、太陽の中には地球がおよそ130万個入ります。重さは地球の約33万倍。それなのに、平均の密度は1cm³あたり1.41gで、水の1.4倍ほどしかありません。地球の密度の4分の1くらいです。太陽は岩のかたまりではなく、水素とヘリウムでできた、熱いガスの球なんです。
もう一つ、距離の話をさせてください。光が太陽から地球に届くまでには、約8分20秒かかります。いま空に見えている太陽は、じつは8分ほど前の姿なんです。
木もれ日の丸い光は、太陽の形そのもの
ここが、私がいちばん面白いと思うところです。晴れた日に木の下を歩くと、地面に丸い光の粒がたくさん落ちていますね。あの丸は、葉のすきまの形ではありません。すきまが小さな穴(ピンホール)の役目をして、太陽そのものの形を地面に映しているんです。
しかも大きさには決まりがあります。太陽は、地球から見ると角度にして約0.5度。直径を距離で割るとおよそ107分の1になる、という大きさです。さきほどの「1mの玉を107m先から見る」と同じ比率ですね。だから、穴から地面までが1mなら、映る太陽の直径は約9mmになります。高い枝から落ちる木もれ日ほど丸が大きいのは、そのためです。
日本で部分日食が起きる日には、この木もれ日がいっせいに三日月のような形に欠けます。太陽を直接見ずに日食を楽しめる、とても安全な方法です。
表面の下から、コロナの外へ:太陽のつくり
太陽の中心には約1500万℃の中心核があり、ここで起きている核融合が、太陽が輝くエネルギーのもとです。その外側を放射層と対流層が包み、私たちが「表面」として見ているのが光球です。ガスの球なので、固い地面はありません。
光球の厚さは約500km、その上の彩層は約2500km。さらに外側には、大きく広がったコロナがあります。
黒点:地球より大きな「涼しい場所」

太陽の表面に見える黒いしみが黒点です。穴のように見えますが、じつは周りより少し温度が低いだけの場所。内部から磁場が飛び出しているところにできて、数日から数か月で消えていきます。
大きさは、直径1600kmほどの小さなものから、16万kmを超えるものまであります。いちばん大きな黒点には、地球が12個も横に並んでしまうんです。黒点の数は約11年の周期で増えたり減ったりしていて、これが太陽の活動の波になっています。
フレアとプロミネンス:太陽はいつも静かなわけではない

太陽の磁場にたまったエネルギーが一気に解き放たれると、フレアという爆発が起きます。強い光と粒子を放つ、太陽系でいちばん強力な爆発です。太陽の縁には、プロミネンスと呼ばれるガスが炎のように立ち上がる姿も見られます。
フレアのあとに、磁場をおびた粒子の雲が宇宙へ吹き出すこともあります(コロナ質量放出、CME)。これが地球に向かってくると、オーロラが明るく輝いたり、人工衛星や送電網に障害が出たりします。遠い太陽の出来事が、私たちの暮らしにも届くんです。
冒頭の謎:コロナはなぜ200万℃もあるのか
最初にお話しした謎に戻りましょう。表面の光球は約5500℃なのに、その外側のコロナは約200万℃。表面より360倍ほども熱いことになります。
熱源から離れるほど熱くなる。どうしてこうなるのか、じつはまだ答えが出ていません。太陽のいちばん大きな謎の一つとして、いまも研究が続いています。
太陽の観察方法
太陽は、満月のおよそ50万倍も明るい星です。だからこそ、見るときには「直接見ない方法」か「太陽専用の道具を正しく使う方法」のどちらかを選んでください。順番にご案内します。
肉眼で:直接は見ずに、映すか専用グラスで
いちばん手軽で安全なのは、木もれ日と同じピンホールの原理です。厚紙に小さな穴をあけて太陽の光を通し、白い紙に映してみてください。太陽の形が丸く映ります。小さな鏡で光を反射させて壁に映す方法もあります。このときは、反射した光が人の目に当たらないよう気をつけてください。
空を見上げて太陽を見たいときは、太陽観察専用の日食グラスや遮光板を使います。使う前に、必ず製品の説明書を読んでください。そして、次の3つを守ってください。
- 日食グラスを目にしっかり当てて、まわりから光が入らないようにする
- 顔を太陽に向けている間は、日食グラスを絶対に目から外さない
- 見る時間はなるべく短くし、長く続けて見ない
日食のとき、事故は未成年者に多いと報告されています。保護者の方は、そばでよく見守ってあげてください。
双眼鏡で:太陽に向けてのぞかない
双眼鏡は、太陽の光と熱を集めて強めてしまいます。肉眼で見るより、ずっと危険です。日食グラスを目に当てたまま双眼鏡をのぞくのも、いけません。
望遠鏡で:投影板か、対物側の太陽フィルター
望遠鏡に太陽投影板を取り付けると、白い板に太陽の像が映り、何人かでいっしょに黒点を眺められます。ただし、使い方を誤ると大きな事故になります。次の点は、必ず守ってください。
- 接眼レンズと投影板の間に顔を入れて、望遠鏡をのぞき込まない
- ファインダーは使えない状態にしておく(ふたをする・外す)。やけどの事故があります
- 太陽観察をよく知る指導者に付き添ってもらう
- 投影法に向かない望遠鏡もあるので、説明書で確かめる
望遠鏡で直接見るなら、太陽専用のフィルターを使います。フィルターは必ず望遠鏡の対物側(光が入る側)に付け、対物レンズの全面を覆ってください。接眼側では使いません。古い望遠鏡には、接眼レンズに付けるタイプの「太陽観察用サングラス」が付いていることがありますが、熱で割れる危険があるので使わないでください。
自己流の方法は試さず、詳しい人の指導を受けてくださいね。
写真に撮るなら:カメラにも減光が必要
目だけでなく、カメラも太陽の光で傷みます。減光しないままカメラやスマートフォンを太陽に向けると、撮像センサーが焼けたり壊れたりするおそれがあります。太陽を撮るときは、太陽撮影用の減光フィルター(ND100000など)を付けてください。
一眼レフの光学ファインダーで太陽をのぞくと、目を傷めます。構図やピントは、液晶モニターのライブ画面で確かめましょう。なお、撮影用のNDフィルターは、目で見る観察には使えません。
もう一度だけ、念を押させてください。次の方法は、どれも太陽の光と熱を十分に弱められません。まぶしく感じなくても、目に見えない光が目の奥に届いて網膜を傷つけることがあります。
サングラス、ゴーグル、色つき下敷き、CD、フィルムの切れ端、すすを付けたガラス、カメラ用のNDフィルター、重ねた偏光板。これらで太陽を見ないでください。太陽が欠けているときも、地平線に近づいて光が穏やかに見えるときも、光と熱の強さは変わりません。
あわせて読みたい
月と日食、水星、金星、望遠鏡や太陽フィルターの選び方の記事は、公開しだいここでご案内します。
よくある質問
- サングラスで太陽を見てもいい?
-
いけません。一般のサングラスは、どんなに濃い色でも、太陽の強い光や熱を通してしまいます。太陽観察専用の日食グラスや遮光板を使ってください。
- 沈みかけの太陽なら、直接見ても大丈夫?
-
大丈夫ではありません。地平線に近づいて光が穏やかになったように感じても、光と熱が強烈なことには変わりありません。細く欠けた日食の太陽も同じです。
- 黒点を見てみたいのですが?
-
肉眼で直接確かめるのはやめてください。太陽投影板に映すか、対物側に太陽専用フィルターを付けた望遠鏡を、詳しい人の指導のもとで使います。
- 日食グラスを付けて双眼鏡をのぞけば安全?
-
安全ではありません。日食グラスを使って望遠鏡や双眼鏡をのぞくのは、絶対にやってはいけない見方の一つです。
出典・参考資料
- NASA NSSDC「Sun Fact Sheet」 https://nssdc.gsfc.nasa.gov/planetary/factsheet/sunfact.html(2024年5月9日更新、2026年10月14日確認):分類(スペクトル型)、半径・直径、質量、体積、平均密度、距離、自転周期、有効温度、中心温度、自転軸の傾き、黒点周期、見かけの等級、光球・彩層の厚さ、黒点の磁場
- NASA Science「Sun: Facts」 https://science.nasa.gov/sun/facts/(2026年10月14日確認):表面(光球)・コロナ・中心の温度、赤道と極の自転周期、年齢、太陽のつくり、黒点・フレア・CMEの説明、黒点の大きさ
- 国立天文台「観察のしかた(日食の安全な観察)」 https://www.nao.ac.jp/astro/basic/solar-eclipse-obs.html(2026年10月14日確認):太陽の明るさ(満月の約50万倍)、やってはいけない見方、日食グラスの使い方、投影板、減光した望遠鏡・双眼鏡、ピンホール・木もれ日
- 国立天文台「アストロ・トピックス No.482「部分日食を安全に観察しよう」」 https://www.nao.ac.jp/nao_topics/data/000482.html(2026年10月14日確認):細く欠けた日食でも危険、未成年者に事故が多い、赤外線による網膜の損傷、鏡で壁に映す方法
- 文部科学省「日食を安全に観察するために(2012年、PDF)」 https://www.mext.go.jp/component/a_menu/science/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2012/03/27/1319109_1_1.pdf(2026年10月14日確認):投影板使用時の注意、接眼部に付ける古い太陽観察用サングラスの危険、NDフィルターや偏光板を使わない、指導者の付き添い
- ニコンイメージング「レンズに太陽光やレーザー光などの強い光線が照射された場合、デジタルカメラの撮像素子に与える影響について」 https://nij.nikon.com/support/faq/products/article?articleNo=000054069(2026年10月14日確認):減光せずに太陽へ向けたときの撮像センサーの損傷
- ケンコー・トキナー「2016年3月9日(水)部分日食を撮ろう!」 https://www.kenko-tokina.co.jp/special/celestial/astronomicalcalendar_2016.html(2026年10月14日確認):太陽撮影用NDフィルター(ND100000)、撮影用NDは観察に使えない、センサーの焼け
- Baader Planetarium「Safety and application instructions on AstroSolar ClearWhite Safety Film OD 5.1(PDF)」 https://www.baader-planetarium.com/en/downloads/dl/file/id/2036/safety-and-application-instructions-on-astrosolar-clearwhite-safety-film-od-5-1.pdf(2026年10月14日確認):太陽フィルターは対物側に付け全面を覆う、接眼側では使わない
- 富士フイルム「日食の撮影にチャレンジしませんか?」 https://fujifilm.jp/support/information/eclipse2012/index.html(2026年10月14日確認):光学ファインダーを使わずライブ画面で確認
- 国立天文台「2023年4月20日 日食(金環皆既日食)ファクトシート(PDF)」 https://www.nao.ac.jp/contents/astro/sky/2023/04/partial-eclipse-factsheet.pdf(2026年10月14日確認):地平線に近づいて光が穏やかに見えても危険
- 国立天文台「科学衛星「ひので」ギャラリー(画像)」 https://hinode.nao.ac.jp/gallery/(2026年10月14日確認):本ページの画像3点(クレジット:国立天文台/JAXA)
- 国立天文台「著作権について(画像の利用条件)」 https://www.nao.ac.jp/terms/copyright.html(2026年10月14日確認):画像の利用条件
- 宙クリップ編集部の計算:光の到達時間は、平均距離1億4960万km(NSSDC Sun Fact Sheet)を光速(秒速29万9792.458km)で割って算出。たとえ話の縮尺は、太陽の直径139万1400kmと地球の平均半径6371km(NSSDC Sun Fact Sheet)から算出。黒点に並ぶ地球の数は、黒点の大きさ(最大16万900km、NASA Science「Sun: Facts」)を地球の直径1万2742kmで割って算出。

