NASAは2025年7月10日、猫の手星雲(NGC 6334) の一部をとらえたジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の新画像を公開しました。ウェッブの NIRCam(近赤外線カメラ) は、星雲内の“toe bean(肉球)”と呼ばれる領域を詳細に観測し、若い大質量星が周囲のガスと塵を掻き取るように彫刻している様子を映し出しています。

目次
若い星が刻む“肉球”模様とガスの洞窟
画像中央の青く輝く泡状構造は、誕生したばかりの巨大星の紫外線と恒星風が周囲を吹き飛ばしてできた空洞です。その外縁には茶色い塵が層を成し、所々に赤く光る高密度コアが点在しています。これらは次世代の原始星が形成されつつある場所と考えられます。
星形成は一時的──“嵐”がやがて静けさを招く
ウェッブの観測によると、大質量星の激しい放射と恒星風が星雲を攪乱し、最終的には星形成そのものを終息させる可能性があります。今回の“肉球”領域は、星雲が星を産み出す短くも劇的な時間を切り取ったものです。
参考・出典
- NASA Image Article「NASA’s James Webb Space Telescope Inspects Cat’s Paw」(2025-07-10 公開) [oai_citation:3‡NASA](https://www.nasa.gov/image-article/nasas-james-webb-space-telescope-inspects-cats-paw/?utm_source=chatgpt.com)
- ESA/Webb Photo Release「Webb scratches beyond the surface of the Cat’s Paw for third anniversary」(weic2513) [oai_citation:4‡esawebb.org](https://esawebb.org/news/weic2513/)
- 画像出典:NASA, ESA, CSA, STScI/weic2513a.jpg
原文筆者:Monika Luabeya(NASA)
翻訳:宙クリップ編集部