ISS 運用の最前線──訓練・研究・アウトリーチ・保守が続く軌道上の一日

NASA は 2025 年 5 月 15 日のブログで、国際宇宙ステーション(ISS)第 73 次長期滞在クルーが行った訓練、物資管理、マイクログラビティ研究、教育アウトリーチ、設備保守などの最新状況を報告しました。

地球の地平線から昇る日の出が、雲に覆われたインド洋を照らし始め、上空271マイルを周回する国際宇宙ステーションから撮影された。
画像出典:NASA/元画像リンク

国際宇宙ステーションでの木曜の活動では第73次長期滞在クルーが、訓練や貨物の取り扱いから微小重力研究、アマチュア無線の教育活動、軌道システムの保守まで、ミッションクリティカルな一連の作業に集中しました。

目次

毎日の訓練で体力維持

NASA 宇宙飛行士ジョニー・キム、ニコル・エイヤーズ、アン・マクレーンと JAXA宇宙飛行士で国際宇宙ステーション(以下、ISS)のコマンダーである大西卓哉船長は、2 時間の運動プログラムを実施。
微小重力下での筋骨格の脱コンディショニング対策として使用される抵抗運動である先進的抵抗運動装置(ARED)などのさまざまな運動器具を使用して2時間を過ごしました。乗組員はまた、振動絶縁・安定化機能付きサイクルエルゴメータ(CEVIS)と呼ばれる没入型運動活動も行いました。この活動では、仮想現実ゴーグルを使用して、乗組員の日々の運動へのモチベーションを高めるのに役立ちます。

貨物船ドラゴンの積み降ろし

キム宇宙飛行士とエイヤーズ宇宙飛行士は、スペースX社のドラゴン宇宙船内での貨物の収納作業を継続しました。ドラゴン宇宙船は第32回貨物補給ミッションの一環であり、ISSのハーモニーモジュールの天頂(宇宙に面したポート)に約1か月間ドッキングした後、5月22日(木)以降にドッキング解除される予定です。

科学実験と教育アウトリーチ

米国コロンバス・モジュールでは、キム宇宙飛行士がISSのアマチュア無線システム(HAM)の設定を行いました。HAMは、学生と宇宙での生活について話し合うためのアマチュア無線システムのことで、このシステムを活用して、地球観測、宇宙ステーションの軌道、そして無線科学について議論しました。また、ISSの目視検査をさらに実施し、追加ケーブルを補強し、廃棄物・衛生室の投与ポンプを保護するための圧力緩和作業も行いました。

エイヤーズ宇宙飛行士は、材料科学における高温研究のためのマルチユーザー施設である材料科学研究所(MSL)で、低勾配炉のサンプルカートリッジを取り外し、次のサンプルカートリッジを取り付け、次回のサンプル採取に向けて施設を準備しました。

マクレーン宇宙飛行士は、微小重力科学グローブボックス(MSG)の作業員として、生命科学グローブボックス(LSG)のフラッシュドライブをLSGラップトップコンピュータにインストール、ソフトウェアのロードを行いました。この施設は、乗組員がいる場合の危険物質の取り扱いに適しています。また、物理科学と生物学の両方の研究ペイロードを収容することも可能です。マクレーン宇宙飛行士はまた、米国実験室とコロンバスモジュールの中心部から、飛行後の分析のための空気サンプルを採取。その後、宇宙農業研究の一環としてトマトの成長の進捗状況を記録する作業に戻りました。

大西宇宙飛行士は、JEM(きぼう)内の静電浮遊炉(ELF)で実験体積サンプルカートリッジから失われたサンプルを除去し、サンプルホルダー2を交換しました。静電浮遊炉は、静電浮遊法を使用して、るつぼを使わずに材料を浮遊させ、溶かし固化させます。

ロシア区画の保守作業

ロシアセグメントでは、セルゲイ・ルィジコフ、アレクセイ・ズブリツキー、キリル・ペスコフの3人の宇宙飛行士が宇宙ステーションのメンテナンス作業に従事しました。ルィジコフ宇宙飛行士はロシアセグメントの保管エリアの点検と、Napor-miniRSAによる再フラッシュ用の回路の準備と組み立てを行い、ズブリツキー宇宙飛行士はカートリッジの終端処理によるマイクロ浄化システムの再生作業を行いました。ペスコフ宇宙飛行士はロシアセグメントと米国セグメントを接続する換気システムの再構成作業を行いました。


参考・出典

原文筆者: Kelcie Nicole Howren(NASA)
翻訳:宙クリップ編集部

宙クリップ

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