JAXA認定の宇宙ベンチャーである株式会社天地人(本社:東京都中央区、代表取締役:櫻庭康人)は、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下「JAXA」)との共同研究契約に基づき、高分解能熱赤外リモートセンシングデータを活用した土地診断の高度化を目的とした共同研究を開始いたしました。

共同研究の背景
近年、都市インフラの管理、環境モニタリング、農業など、多様な分野でリモートセンシング技術の活用が進展しています。中でも「熱赤外観測」は、地表面温度の把握を通じて、地球温暖化に伴う環境変化の可視化や都市インフラの健全性分析、火山・林野火災の監視、農作物の生育状況の確認などにおいて重要な役割を果たしています。
天地人が提供する「天地人コンパス」や「宇宙水道局」においても、地表面温度は土地診断の重要な指標として位置付けられています。しかし、現在一般的に流通している熱赤外リモートセンシングデータは、空間分解能や観測頻度に制約があり、社会課題に対応するには限界がありました。特に都市化が進む現代において、より高精度かつ高頻度の観測データが求められています。
共同研究の目的と内容
今回の共同研究では、JAXAが開発を進める次世代の高分解能熱赤外観測技術を活用します。これに使用される「Type-II超格子検出器(T2SL)」は、量子型赤外線検出器の一種で、水銀などの有害物質を用いずに製造できるだけでなく、従来の方式と比較して高感度が期待されるセンサーです。
天地人は、この次世代センサーを活用した土地診断の高度化における実証・評価を担います。また、天地人が保有する「天地人コンパス」と連携し、熱赤外データの利活用を推進。将来的には社会実装を見据えたモデルケース構築を目指します。
「Thermo Earth of Love プロジェクト(地表面温度観測衛星計画)」について
天地人では、今回の共同研究とは別に、自社による地表面温度観測衛星計画「Thermo Earth of Love プロジェクト」を推進しています。本プロジェクトは、地表面温度の観測強化を通じて、気候変動対応や災害リスク評価、インフラ老朽化対策など、社会課題の解決を目指すものです。
「Thermo Earth(地球の熱)」と「Love(地球への想い)」という二つの意味を込めた名称の通り、地球の熱を見つめ、そのデータを社会のインフラ対策へと転換する挑戦です。
JAXAのコメント
JAXA研究開発部門センサ研究グループは、次世代の赤外線検出器の研究開発を実施しています。現在開発中の検出器を用いた地球観測センサは、従来品よりも高い空間分解能が得られるため、インフラの集中する都市部の温度分布をこれまでになく詳細に見分けられることが期待されます。
本共同研究に際して、JAXAは、構想中の地球観測センサの観測模擬データを天地人様に提供し、同社のインフラ健全性診断を含む土地評価事業への導入効果について評価頂きます。またセンサ特性へのフィードバックをいただくことにより、模擬データを更新するだけでなく、技術的実現性や開発規模を予測し、費用対効果を検討します。
今回、天地人様との共同研究において、JAXAが構想する観測センサの実用的効果を、具体的事業への導入シミュレートにて検証できることをうれしく思います。
天地人のコメント
このたびJAXA様と高分解能熱赤外リモートセンシングデータを活用した土地診断の高度化に挑戦できることを光栄に思います。熱赤外観測は気候変動や都市インフラ、農業など幅広い分野で不可欠な技術であり、本共同研究により従来の分解能や観測頻度の制約を超える新たな可能性を切り拓けると考えています。
天地人コンパスで培った社会実装力とJAXA様の先端のセンサ開発技術を融合し、地表面温度データを社会課題解決につなげる挑戦に全力で取り組んでまいります。
会社概要
会社名 | 株式会社 天地人 |
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所在地 | 東京都中央区日本橋1丁目4−1 日本橋一丁目三井ビルディング5階 |
代表者 | 代表取締役 櫻庭 康人 |
事業内容 | 衛星データを活用した土地評価コンサルティング |
公式サイト | https://tenchijin.co.jp/ |
公式SNS | Twitter / LinkedIn 公式noteマガジン:「天地人コンパス 宇宙水道局」 |