ispace EUROPE、ESAと月面探査計画「MAGPIE」フェーズ2契約を締結

株式会社ispace(東京都中央区、代表取締役:袴田武史、以下ispace)(証券コード9348)の欧州法人であるispace-EUROPE S.A.(以下ispace EUROPE)は、欧州宇宙機関(ESA)との間で締結しているThe Mission for Advanced Geophysics and Polar Ice Exploration(先端地球物理学および極域氷探査ミッション、以下MAGPIE)プロジェクトのフェーズ2に移行し、総額65百万ユーロ(約120億円)の追加契約を締結したと発表しました。

目次

ミッション4で欧州初、月極域でのローバーによる氷探査ミッションを目指す

MAGPIEは、欧州初のローバー月面探査ミッションです。ESAは本プロジェクトで、月の極域における揮発性物質の分布や特性の解明、水氷の探索、およびレゴリスの特性に関する科学的知見の向上を目指しています。

MAGPIEフェーズ2契約の概要

ESAは、高度な技術開発を伴う大型プロジェクトにおいて、開発段階に応じた契約方式を採用しています。ispace EUROPEは、2024年12月、MAGPIEの実現可能性、設計およびミッションアーキテクチャの検討を目的として、ESAとの間でプリフェーズA契約を締結しました。その後、2025年6月には、当該プリフェーズ契約をフェーズ1へ拡張するための変更契約を締結し、ispace EUROPEは、ペイロードの成熟化、インターフェース開発およびプロトタイプ製造を含むミッションコンセプトの実装を主導してきました。

関連リリース:ispace EUROPE、欧州宇宙機関とローバーを使った月面探査計画「MAGPIE」のフェーズ1契約を締結

このたび、ispace EUROPEはMAGPIEの設計施策審査(Design Prototype Review)を完了したことで、フェーズ2として総額6,500万ユーロ(約120億円)の追加契約に至りました。今後は次の主要マイルストーンとなる、ローバーの熱構造モデルの製造準備審査(Structural Thermal Model Manufacturing Readiness Review)に向けて、引き続き開発を進めます。そしてMAGPIEの主契約者としてミッション全体を統括し、設計や科学目標の策定、ローバー開発およびペイロード統合ならびに運用を主導します。

また、ispace EUROPEはESAおよびMAGPIEコンソーシアムと緊密に連携し、ミッション設計やローバープラットフォーム、運用に加え、ミッションにより取得した科学データの提供など、革新的な月面探査ミッションを実施します。本取り組みでは、ispace EUROPEのシニア・ルナサイエンティストであるソフィア・カサノバがMAGPIEの主任研究者(Principal Investigator)を務めます。

ミッション4での搭載を予定

MAGPIEプロジェクトで使用するローバーは、2029年に実施するミッション4のランダーに搭載される予定です。ispaceは2026年1月にJAXAの宇宙戦略基金事業第二期において、「月極域における高精度着陸技術」の実施機関として採択されており、同ミッションで高精度月面着陸を目指します。ESAおよびJAXAとの連携により実施されるミッション4は、欧州の科学的ビジョンと日本の月探査目標をispaceの事業基盤に組み合わせることで実現するものであり、MAGPIEはシスルナ経済圏における実践的な国際協力モデルとなることが期待されています。

関連リリース:ispace、宇宙戦略基金事業「月極域における高精度着陸技術」に採択!

ispace EUROPE CEO、Julien-Alexandre Lamamyのコメント

「MAGPIEは、欧州の月探査にとって大きな前進となる重要なミッションです。今回の追加契約締結は、商業的な輸送サービスの活用や先進的な科学探査、そして国際協力を融合させた新しい月探査の在り方に対するESAの強い期待とコミットメントを示しています。ispace EUROPEは、ミッション設計からローバー開発、月面運用、さらにESAへのデータ提供に至るまで、MAGPIEミッションを主導できることを大変光栄に思っています。私たちは、このようなミッションの積み重ねこそが、欧州が月面で持続的かつ実践的な能力を確立していくための重要な一歩になると考えています。」

ESA Lunar Programme Manager、Sara Pastor氏のコメント

「MAGPIEは、革新的な開発アプローチと国際協力を通じて、大胆な探査目標の実現を目指すESAの取り組みを象徴するミッションです。月の極域に存在する揮発性物質の調査や、水氷資源の探査・特性評価を通じて、将来的な人類の持続的な月面活動を支える上で欠かせない知見をもたらすことが期待されています。MAGPIEミッションで得るデータは、次世代の月探査に向けた重要な基盤となるでしょう。

 また本ミッションは、ESAとJAXAの協力関係のさらなる発展を示すものでもあります。両機関がそれぞれの強みを組み合わせ、共通の探査課題に取り組むことで、より大きな成果の創出を目指していきます。MAGPIEは、欧州各国の産業界および学術・研究機関の連携を促進するとともに、欧州が将来月探査や月面利用において重要な役割を果たしていくための能力強化にもつながります。引き続き、持続的な月面活動の実現に向けた欧州の貢献を示してまいります。」

株式会社ispaceについて

https://ispace-inc.com/jpn/

「Expand our planet. Expand our future. ~人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ~」をビジョンに掲げ、月面資源開発に取り組んでいる宇宙スタートアップ企業。日本、ルクセンブルク、アメリカの3拠点で活動し、現在約350名のスタッフが在籍。2010年に設立し、Google Lunar XPRIZEレースの最終選考に残った5チームのうちの1チームである「HAKUTO」を運営した。月への高頻度かつ低コストの輸送サービスおよびデータサービスを提供することを目的とした小型のランダー(月着陸船)と、月探査用のローバー(月面探査車)を開発。民間企業が月でビジネスを行うためのゲートウェイとなることを目指し、新たに月周回の自社衛星を活用した、通信・測位を中心とするルナ・コネクトサービスの提供も目指す。2023年には民間企業として世界で初めて月面着陸に挑戦するミッション1を実施。2025年にはミッション2を実施し、月周回までの確かな輸送能力や、ランダーの姿勢制御、誘導制御機能を実証することが出来た。最速2027年には新ミッション2.5として月周回衛星1基を月周回軌道へ投入することを予定。2028年iには、経産省のSBIR補助金を活用し、日本拠点が主導で開発を進めるランダーモデル「ULTRA(ウルトラ)」によるミッション3の打ち上げを予定しており、続く2029年iiには南極近傍への高精度着陸を目指すミッション4の打ち上げを予定している。

脚注

i 当該打上げ時期については2026年7月時点の予定であり、今後変更する可能性があります。なお、当社が補助対象事業として採択されたSBIR(Small Business Innovation Research)制度の公募テーマ「月面ランダーの開発・運用実証」の事業実施期間が原則として2027年度とされており、SBIR制度に基づく補助金の対象となるミッション3(旧ミッション4)は、当初2027年中の打上げとして経済産業省及びSBIR事務局と合意しておりましたが、2026年7月時点では当社内の開発計画上、2028年内の打上げとなることを見込んでおります。本変更については今後、関係省庁及びSBIR事務局と調整中の段階であり、最終的には経済産業省により正式に計画変更が認可されることとなります。

ii 2026年7月時点

宙クリップ

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