星がその生涯を終えるときに起こる超新星爆発。関東学院大学 理工学部の中嶋 大教授と理化学研究所の大城 勇憲研究員らは、超新星爆発の一種であるIa型超新星の残骸「3C397」を研究対象とし、約5000年前の爆発の瞬間における天体の密度や燃焼スピードを解明しました。

Ia型超新星は、爆発時に大量の鉄やニッケル、チタンなどを生み出して宇宙空間へ放出するため、地球に「金属」をもたらしたことで知られています。中嶋教授らは、自らが開発を主導したCCDカメラを搭載するX線分光撮像衛星「XRISM」の観測データを分析し、「3C397」の爆発の瞬間に次の事象が発生していたことを明らかにしました。
目次
XRISMの観測データから明らかになった3つの事象
- チタンと鉄、クロムと鉄の存在比率から、天体の中心部は、これまで常識とされてきた値を超える極めて高い密度(角砂糖1個の体積で3000トン以上)に達していたことがわかりました。
- 爆発時の燃焼波が、超音速ではなく、じわじわ広がるような亜音速で伝わった可能性があります。これは、いまだ謎の多いIa型超新星の爆発の仕組みを解き明かす新たな手がかりとなります。
- 「3C397」を生んだ親の星(白色矮星)は、すでに金属量が多かった(太陽系の3倍から5倍)ことがわかりました。
本研究は、Ia型超新星爆発の仕組みをひもとくだけでなく、広がり続ける宇宙の進化をたどる鍵となります。「3C397」の親星である白色矮星は、その質量が上限に近づくと爆発すると考えられているため、爆発時はどの白色矮星も同じ明るさを放ちます。これをものさしとして、地球から見える爆発時の明るさから天体までの距離を推定することで、宇宙空間が広がっていく様子を知る糸口になります。



論文情報
| 雑誌名 | Publications of the Astronomical Society of Japan |
|---|---|
| 論文名 | Progenitor and Explosion Mechanism of 3C397 Indicated from XRISM High-resolution Spectroscopy of Fe-group Elements |
| 著者 | Hiroshi Nakajima, Yuken Ohshiro, et al. |
| DOI | https://doi.org/10.1093/pasj/psag106 |

