まだまだ寒さの厳しい2月。
ですが、2月の空は夜が更けると春の星座が空に昇ってくるようになり、夜空からも春のおとずれを感じられるようになってきます。それとともに過ぎゆく冬の星空を楽しみましょう。
冬と春の境目とされてきた「節分」の頃、日の入り後、西の低空に見える木星に、細い月が近づきます。
年明けまで夕方に見えた金星は、今は明け方の空にまわっています。13日には最大光度となって非常に明るく輝きます。下旬には、新月前の細い月が近づいて目を引くでしょう。
この時期に見つけてみたい星が、りゅうこつ座のカノープス。夜空に見られる恒星としてはシリウスに次いで2番目に明るい星ですが、かなり南に位置しているため、日本では見える地域が限られます。シリウスが南中する直前の短い時間、地平線をかすめるように現れます。
日の入り後は木星、日の出前には13日(日)に最大光度を迎える金星や火星に注目です。見られたら縁起の良い星「カノープス」を見るのに良い時期でもあるので、晴れた日はぜひ天体観測をしてみてください。
1日 | 新月 |
4日 | 立春(太陽黄経315度)/水星が留 |
5日 | 土星が合 |
8日 | 上弦 |
13日 | 金星が最大光度 |
17日 | 満月/水星が西方最大離角 |
19日 | 雨水(太陽黄経330度) |
24日 | 下弦 |
惑星の見どころ
水星
日の出前の東の低空に位置しています。17日に西方最大離角となりますが、日の出30分前の高度は10度もなく、観察は難しいでしょう。
金星
日の出前の南東の低空に見えています。13日に最大光度となり、このころは昼間の青空の中でも金星を見つけやすくなります。最大光度前後の金星の明るさはマイナス4.9等。
火星
いて座を東に移動しています(順行)。日の出前の南東の低空に見え、明るさは、1.4等から1.3等。
木星
みずがめ座を東に移動しています(順行)。日の入り後の西の低空に位置しています。中旬以降は見かけの位置が太陽に近く、観察は難しいでしょう。
土星
やぎ座を東に移動しています(順行)。月初は日の入り後の西の低空に位置していますが、5日に合となり、以後は日の出前の南東の低空に位置するようになります。見かけの位置が太陽に近く、観察は難しいでしょう。
※国立天文台Webサイトより引用
夕方の空で細い月と木星が接近
日の入りから1時間ほど経ち空が暗くなった頃、西の低空に明るい木星が見えています。
2月3日には1日に新月を迎えたばかりで大変細い姿をしている月が木星に接近します。日の入り1時間後の高度がわずか10度ほどですので、南西から西にかけて地平線近くまで見通せる場所で観察しましょう。双眼鏡があるとさらに見つけやすくなります。
木星と月はそのまま仲良く地平線に近づき、1時間もすると沈んでしまいます。
短い時間ですが、細長い月と一際明るい木星を並んで観られるチャンスです。節分の日の夕方に観られますので、豆まきの前後に夜空を眺めてみてくださいね。
明け方の空で細い月が金星と火星に接近
2月の後半、27日、28日には早起きをして、南東の方角が開けた場所で明け方の空を観察してみましょう。
翌月3日に新月となる細い月が金星に近づき、目を引く眺めとなります。月は、27日には金星の右にありますが、翌28日には金星の下にまで移動します。
金星のすぐ下には、それほど目立つ明るさではありませんが、赤い星が見えます。今年(2022年)12月に地球に最接近する火星です。これから9か月ほどかけて地球に接近し、それに伴って明るくなっていきますので、少しずつ近づいてくる火星を観察してみてください。
また、2月の日の出前の南東の空には、金星が大変明るく輝いています。金星は、13日に最大光度となり、マイナス4.9等まで明るさを増します。これは、なんと1等星の100倍以上という明るさです。
このころの金星は大変明るく、昼間の青空の中でも見ることができます。太陽を直接見ないよう十分注意して、昼間の金星の観察に挑戦してみましょう。日の出前のまだ薄暗いうちに金星の位置を確めておき、空が明るさを増す間にときどき位置を確認し直すと、日の出の後も金星を比較的簡単に見つけることができます。
カノープスを見つけよう!
カノープスとはりゅうこつ座で最も明るい恒星(マイナス0.7等)です。太陽を除くと、おおいぬ座のシリウス(マイナス1.5等)に次いで、なんと全天で2番目に明るい恒星です。しかし、日本の多くの地域でカノープスの南中高度(南の空で最も高くなる時の高度)は大変低く、見つけにくい星として知られています。
カノープスは白く輝く恒星です。しかし、空の低い位置に見えるときには地球の大気の影響を受け、実際の明るさよりも暗く、赤みがかった色に見えます。
カノープスを見ることができる北限は、平地では計算上北緯37.9度となり、おおむね福島県北端付近です。それより北の地域ではカノープスは地平線より上に昇らず、見ることができません。反対に、南に行くほどカノープスの南中高度は高くなり、見つけやすくなります。
夜更け前にカノープスが南中する2月は、カノープスを見つけるチャンス!
よく晴れた夜、南の空が開けた場所でカノープスを探してみましょう。うまくいけば、南の地平線近くの低い空に、場所によっては地平線すれすれの位置にカノープスを見つけることができます。上の図のように、冬の大三角やおおいぬ座のシリウスを目印にするとよいでしょう。
中国では、カノープスを「南極老人星(なんきょくろうじんせい)」と呼び、この星を見ると寿命が延びる、という言い伝えがあるそうです。
せっかくの機会なので、おじいちゃんおばあちゃんと一緒に探してみるのもいいですね。
場所 | 南中高度 | 南中時刻(1日) | 南中時刻(11日) | 南中時刻(21日) |
---|---|---|---|---|
那覇 | 11.2度 | 22時07分 | 21時28分 | 20時48分 |
福岡 | 3.9度 | 21時56分 | 21時17分 | 20時37分 |
京都 | 2.5度 | 21時35分 | 20時55分 | 20時16分 |
東京 | 1.9度 | 21時19分 | 20時39分 | 20時00分 |
福島 | 0.1度 | 21時16分 | 20時37分 | 19時57分 |