どんどん気温の上がってくるこの季節。
ゴールデンウィークもあるこの時期にぜひ早起きして明け方の空を見上げてみてください。
1日には、東の低空で明るく見えている木星にさらに明るく輝く金星が近づきます。下旬になると、土星、火星、木星、金星に次々に月が接近していく様子が楽しめます。27日に金星に近づいた月は、その日の午後に九州南部の一部の地域で金星を隠す「金星食」を観察することができます。
夜空にひしゃく型の北斗七星を見つけたら、ひしゃくの柄の部分から春の大曲線を描いて、アークトゥルス、スピカ、デネボラを繋いで春の夜空に大きく輝く春の大三角も眺めてみましょう。
1日 | 新月/部分日食(日本では見られない) |
2日 | 八十八夜 |
5日 | 立夏(太陽黄経45度)/天王星が合 |
6日 | 17時頃、みずがめ座η(エータ)流星群が極大(見頃は5~7日の未明。1時間に5個程度。月の条件は良い) |
9日 | 土用の入り(太陽黄経27度)/満月 |
11日 | 穀雨(太陽黄経30度) |
16日 | 下弦/4時頃、4月こと座流星群が極大(見頃は22日深夜~23日未明。1時間に5個程度。月の条件はやや悪い) |
21日 | 小満(太陽黄経60度) |
22日 | 水星が内合 |
23日 | 下弦 |
27日 | 金星食(昼間、九州・沖縄の一部で観察できる) |
30日 | 新月 |
惑星の見どころ
水星
上旬から中旬にかけて、日の入り直後の西の低空に位置しています。東京では7日まで日の入り30分後の高度が10度を超え、観察しやすい状態が続いています(他の地域でも大きな違いはありません)。1日から7日までの明るさは0.4等から1.3等。その後は下旬に向けて徐々に高度が下がり、22日に内合になります。内合以降は日の出前の東の低空に位置するようになります。
金星
日の出前の東の低空に見えています。明るさはマイナス4.1等からマイナス4.0等。
火星
みずがめ座を東に移動し、下旬にはうお座に移ります(順行)。日の出前の東の低空に見え、明るさは0.9等から0.6等。
木星
うお座を東に移動しています(順行)。日の出前の東の低空に見え、明るさはマイナス2.1等からマイナス2.2等。
土星
やぎ座を東に移動しています(順行)。日の出前の南東の空に見え、明るさは0.8等から0.7等。
※国立天文台Webサイトより引用
金星と木星が接近!
5月は夜明け前の東の低空に、金星と木星が見えています。
低い空ではありますが、マイナス4等の金星とマイナス2等の木星が近い位置で輝く姿は夜明けの空に目立って輝いていることでしょう。東の方角が開けている場所で観察してください。
4月下旬から5月上旬にかけて、この2惑星が近づき、離れていく様子を観察することができます。
4月27日4時、金星と木星の間は約3.8度(満月の見かけの直径8個弱分)離れています。このとき、金星の近くには細い月も見えています。その後、金星は日に日に東へ移動し、木星に近づいていきます。
5月1日の4時には約0.24度(満月の見かけの直径の約半分)にまで近づきます。月がすっぽりと視野に収まるくらいの倍率の望遠鏡では、木星、木星のガリレオ衛星、そして金星を同時に観察できます。
金星と木星が最も近付くのは6時頃ですが、その頃にはすでに太陽が昇り、空が明るくなっています。望遠鏡や双眼鏡を使って観察する場合は、4月下旬から5月上旬にかけて、この2惑星が近づき、離れていく様子を観察することができます。
4月27日4時、金星と木星の間は約3.8度(満月の見かけの直径8個弱分)離れています。このとき、金星の近くには細い月も見えています。その後、金星は日に日に東へ移動し、木星に近づいていきます。
5月1日の4時には約0.24度(満月の見かけの直径の約半分)にまで近づきます。月がすっぽりと視野に収まるくらいの倍率の望遠鏡では、木星、木星のガリレオ衛星、そして金星を同時に観察できます。
金星と木星が最も近付くのは6時頃ですが、その頃にはすでに太陽が昇り、空が明るくなっています。望遠鏡や双眼鏡を使って観察する場合は、誤って望遠鏡や双眼鏡で太陽を見てしまうとたいへん危険ですので、日の出前には観察を終えるようにしましょう。
その後、金星はさらに東へ移動して、2惑星はどんどん離れていきます。
5月4日の4時には約2.7度(満月の見かけの直径6個弱分)まで離れ、数日のうちに木星に対する金星の位置がずいぶん変わっていくことがわかります。これは、金星の星空の中を移動していくスピードが、木星よりもずっと速いためです。
月が土星、火星、木星、金星に接近!
月と惑星たちの共演に注目しよう!
5月の明け方は見頃の星がたくさんあります。
日の出前の南東から東にかけての空にはたくさんの惑星が見えています。日の出1時間ほど前の南東の空には土星、東の低空には金星、そして土星と金星の間の金星寄りの位置には火星、木星が見えています。
5月1日には見かけの距離が満月の直径の半分にまで近づいた木星と金星は、金星がさらに東へ移動し、5月31日には約29度(満月の見かけの直径60個分近く)と、大きく離れます。
5月22日から27日にかけて、これらの惑星の近くを月が通りすぎていく様子を観察できます。22日には、下弦前の月が土星の近くに見えます。月は徐々に欠けていきながら東へ東へと移動し、25日には火星と木星の近くに見えます。この後も月は東へ移動し、27日にはさらに細くなった月が金星の近くに見えます。
月と金星の共演、九州の一部では昼間に金星食が観察できる!
5月27日、夜明け前の東の低空で明るく輝く金星に細い月が近づき、美しい眺めになります。
明るくなるにつれて、金星も細い月も青空にかき消されるかのように見えなくなっていきますが、その日の午後、宮崎県、鹿児島県の一部の地域、および、沖縄県や東京都小笠原村では、月が金星を隠す「金星食」を観察することができます。
地球の周りを公転している月は地球から見ると西から東へと移動し、約1カ月かけて空を一周しています。このとき月は、背後にある天体を次々に隠していきます。月が惑星を隠す現象を惑星食、恒星を隠す現象を星食と呼びます(個別には、隠す天体の名をとって「○○食」と呼びます)。今回の金星食は昼間に起こるため、肉眼で観察することは難しいのですが、双眼鏡や望遠鏡を使って観察することができます。誤って太陽を見てしまわないよう、十分注意して観察してください。各地の金星食の予報時刻は、下の表のとおりです。場所がわずかに変わると予報時刻も変わるため、事前にしっかりと調べておくことが大切です。
場所 | 緯度 | 経度 | 潜入開始 | 潜入終了 | 最小角距離 | 出現開始 | 出現終了 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
鹿児島 (市役所) | 31.5969° | 130.5572° | 金星食は起こらない | ||||
鹿児島 (県庁) | 31.5603° | 130.5581° | 13時42分14秒 | 金星の一部が月に隠される (最小角距離 13時45分04秒) | 13時47分41秒 | ||
日南 | 31.6019° | 131.3789° | 13時41分33秒 | 金星の一部が月に隠される (最小角距離 13時45分47秒) | 13時49分49秒 | ||
垂水 | 31.4928° | 130.7011° | 13時40分07秒 | 金星の一部が月に隠される (最小角距離 13時45分11秒) | 13時50分02秒 | ||
指宿 | 31.2528° | 130.6331° | 13時36分28秒 | 13時40分18秒 | 13時45分06秒 | 13時49分41秒 | 13時53分27秒 |
那覇 | 26.2122° | 127.6792° | 13時09分02秒 | 13時09分59秒 | 13時40分49秒 | 14時10分02秒 | 14時10分53秒 |
石垣 | 24.3406° | 124.1556° | 12時59分25秒 | 13時00分20秒 | 13時35分28秒 | 14時08分34秒 | 14時09分23秒 |
小笠原 (村役場) | 27.0944° | 142.1919° | 13時25分15秒 | 13時26分04秒 | 13時53分30秒 | 14時19分31秒 | 14時20分16秒 |
鹿児島県、宮崎県で金星食が観察できる地域は、上の図のとおりです。
金星をはじめ、惑星は地球から面積を持って見えるため、金星が月に隠れる時(潜入)、出てくる時(出現)には少し時間がかかります(望遠鏡を使っても地球からは点にしか見えない恒星は、潜入も出現も一瞬です)。
また、上の図で2本の線に挟まれた細い帯のような地域では金星は完全には月に隠されず、一部分が隠されただけで金星食が終わります。
垂水市と、那覇市での金星食の様子は、上の図の通りです。
垂水市では13時40分頃から13時50分頃にかけて、金星の一部が月の縁に隠されます。一方、那覇市では13時09分頃から13時10分頃にかけて金星は月の光っている側から潜入し、14時10分頃から14時11分頃にかけて月の光っていない側から出現します。望遠鏡を使うと、潜入の際に金星が月にじわじわと隠されていく様子や、出現の際に青空の中にじわじわと金星が現れてくる様子(青空の中では月の光っていない部分は見えないため)を観察することができるでしょう。
昼間の金星食の観察には双眼鏡や望遠鏡が必要ですが、誤って太陽を見ることのないよう、十分に注意してください。
自分の住んでいる場所や、観察する場所で金星食が起こるかどうかは、事前に国立天文台暦計算室の「惑星食各地予報」で調べておきましょう。
5月は明け方の空に見頃の星々が盛り沢山見つけられます。
日の出の時間もどんどん早くなってきます。ぜひ早起きして、一日の始まりを美しい星々を眺めてから始めませんか。