2022年7月天体情報

夏本番の7月。
まだまだ日が長い上に梅雨空の広がる日も多く、なかなか綺麗な星空を眺める機会は少ないかもしれません。
ですが、晴れた日には暗くなると東の空に夏の大三角、南の空にはさそり座が見えています。深夜になると東の空から惑星が昇り始め、数珠つなぎのように明け方の空を横断します。
惑星を肉眼で見ることができるのは金星、火星、木星、土星です。
今月は、比較的明るいさそり座の恒星や、火星が月に隠される「天体食」にも注目してみましょう。刻々と夜空を移動していくスピード感を感じることができます。
日が落ちた後も気温は高く、熱帯夜の日も多いですが、冷たい飲み物を片手に夏の夜空をぜひ見上げてみてください。

2022年7月の星空
2日半夏生(太陽黄経100度)
4日地球が遠日点通過
7日小暑(太陽黄経105度)/上弦
14日満月(2022年で地球に最も近い満月)
17日水星が外合
20日土用の入り(太陽黄経117度)/下弦
22日火星食(21日夜遅くから、関東から中国にかけての大部分と四国の大部分で観察できる)
23日大暑(太陽黄経120度)
29日新月/木星が留
30日このころ、みずがめ座δ(デルタ)南流星群が極大(見ごろは極大を中心とした数日の深夜から未明。1時間に5個程度。月の条件は良い)

惑星の見どころ

水星

水星

上旬から中旬にかけて、日の出前の東の低空に位置しています。17日に外合となり、以後は日の入り後の西の低空に位置するようになります。高度が低く観察は難しいでしょう。

金星

金星

日の出前の東の低空に見えています。明るさはマイナス3.9等。

火星

火星

うお座を東に移動し、上旬のうちにおひつじ座に移ります(順行)。日の出前の東の空に見え、明るさは0.5等から0.2等。

木星

木星

うお座とくじら座の境界付近を東に移動していますが(順行)、29日に留(りゅう)となり、以降は西向きの動き(逆行)に転じます。留のころには、星空の中での木星の動きが止まったように見えます。真夜中に、東の空に昇ってきます。明るさはマイナス2.4等からマイナス2.6等。

土星

土星

やぎ座を西に移動しています(逆行)。真夜中の南東から南の空に見え、明るさは0.6等から0.4等。

国立天文台Webサイトより引用

今年で一番地球から近い満月

2022年 満月の距離のちがい

1月18日の満月は、2022年で地球から最も遠い位置で起きた満月でした。一方、7月14日の未明には2022年中で地球から最も近い位置で満月になります。

月は7月13日18時6分に近地点を通過し、日付が変わって14日の3時38分に満月(望)となります。満月のときの地心距離は約35万7400キロメートル、月の視直径は約33分25秒角です。

2022年 月の地心距離の変化と満月

地球の周りを公転する月の軌道は楕円形をしているため、地球と月との距離は一定ではありません。さらに、月の軌道は太陽や地球などの重力を受けて変化しているため、満月や新月のときの距離は、上の図のように毎回異なります。
地球に最も近い満月は、地球から最も遠い満月に比べて視直径が約12パーセント大きく、光っている面積が約26パーセント広い(その分明るい)程度の違いがあります。とはいえ、実際の夜空に月を二つ並べて比較することはできないため、夜空の月を眺めただけで大きさの変化に気づくのは難しいでしょう。それぞれの日に、同じカメラ、同じ画角のレンズで撮影した写真を比較してみるとわかるくらいの違いです。
肉眼ではそれほど違いはわからないかもしれませんが、今年一番大きくて明るい満月はいつも見る満月よりも少し迫力を増して感じられることでしょう。

※月の距離に応じた見かけの大きさの変化は以前よりよく知られていたことですが、最近では地球に近い条件で起きる満月は特に「スーパームーン」などと称されています。このような話題をきっかけに月や夜空を眺めてみる方もいらっしゃるでしょう。月を見上げることをきっかけに、宇宙の面白さに目を向けていただきたいと思います。

月が土星と木星に接近!

月が土星と木星に接近 2022年7月15〜19日 23時30分頃 東京の星空

7月の深夜、明るい星の少ない秋の星座の中で飛びぬけて目を引くのが、土星と木星です。土星は、0.5等前後の比較的穏やかな輝きで南東の空に、木星はマイナス2.5等前後という一段と鋭い光で東の空に見えています。

7月15日から19日にかけての夜更けの空で、離れて並ぶ2つの惑星の近くを月が通り過ぎていきます。15日の深夜には、月は土星と並んでいます。満月を1日過ぎただけの月はかなり明るく、土星は見つけづらいかもしれません。月は日ごとに東へと移動しながら欠けていき19日には木星の東側まで通り抜けます。下弦に近い月が近くにあっても、木星ははっきり見えます。月が近くにあるときの見え方で、木星と土星の明るさの違いが際立ちます。
土星は目をこらさないと見えないかもしれませんが、夏の夜空にきらめく月と木星と土星の共演を眺めてみてください。

連日の熱帯夜で外に出るのも億劫な時期ですが、日が落ちて気温が下がってきたら、冷たいビールやドリンクを持ってバルコニーに出てみてください。風鈴の音に耳をかたむけながら静かに星を眺めるのもとても素敵ですね。

宙クリップ

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2022年7月の星空

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