2022年12月の天体情報

早いものでもう師走。
イベントも多く、年の瀬が近づくと何かと忙しい12月ですが、夜が長いので星空を観られる時間も長くなります。
12月は、22日に冬至となり、一年で夜が最も長い月と言えます。
1日に火星が地球に最接近し、また8日には衝となり、一晩中観測可能な時期を迎えます。深夜を中心に高い空で赤っぽく輝く火星に注目してみてください。
ふたご座流星群は、14日夜が極大となりますので、月明かりの影響の少ない夜半前に時間帯が観察におすすめです。
宵の空には、土星と木星が輝いています。26日から29日には、月が土星と木星に近づき、年末の空も華やかです。
お仕事帰りには外が真っ暗になっている方も多いでしょう。ふと見上げた夜空に輝く光は忙しない日常から少し離れて気持ちを穏やかにしてくれるかもしれません。

2022年12月の星空
1日火星が地球に最接近
4日海王星が留
7日大雪(太陽黄経255度)
8日満月/火星が衝
14日22時頃、ふたご座流星群が極大(見頃は14日夜。1時間に40個程度。月の高度が低い夜半前の条件が良い)
16日下弦
22日冬至(太陽黄経270度)/水星が東方最大離角
23日新月
29日水星が留
30日上弦

惑星の見どころ

水星

水星

日の入り後の南西の低空に位置しています。22日に東方最大離角となりますが、日の入り30分後の高度は10度もなく観察は難しいでしょう。

金星

金星

日の入り直後の南西の低空に位置しています。明るさはマイナス3.9等。

火星

火星

おうし座を西に移動しています(逆行)。1日に地球に最接近、8日には衝となり、2年2カ月ぶりの観察の好機を迎えます。日の入りの頃に東の空に昇り、真夜中には頭の上近くに見えます。明るさは月初のマイナス1.9等から衝の頃にはマイナス2.0等に達し、月末にはマイナス1.3等となります。

木星

木星

うお座を東に移動しています(順行)。宵の南から南西の空に見え、明るさはマイナス2.6等からマイナス2.4等。

土星

土星

やぎ座を東に移動しています(順行)。宵の南西の空に見え、明るさは0.8等から0.9等。

国立天文台Webサイトより引用

火星が地球に最接近!

約2年ぶりの火星観望の好機がやってきました。
夜空で赤っぽく輝く火星は、地球の一つ外側を公転している惑星です。この火星が約2年2カ月ぶりに地球と接近し、観察の好機を迎えます。

2016年〜2035年 最接近時の地球と火星

今回の火星と地球の最接近は12月1日11時頃です。ただし、最接近の時間帯は昼間で、火星も地平線の下にあるで、日本から見ることはできません。日本の夜では、12月1日夜明け前(11月30日の深夜過ぎ)と、12月1日宵の頃が、最も近い火星を観察できるチャンスです。
このときの火星と地球の間の距離は約8145万キロメートル。これは最接近としては中くらいの距離で、「大接近」と呼ばれた2018年7月31日の最接近時と比べると、7割程度に相当します。
また、最接近の頃の火星の明るさはマイナス1.9等です。ただ12月6日から9日頃の方が若干明るく、マイナス2.0等に達します。なお、11月中旬から12月下旬にかけてマイナス1.5等以上の明るさを保ちますので、比較的長い期間、夜空で目立って見えますので、是非この期間に赤く輝く火星を観察してみましょう。

火星最接近の日の星空 2022年12月1日22時頃 東京の星空


最接近の頃の火星は、夕方空が暗くなり始めた頃に東北東の低い空に見え始め、時間とともに空の高い位置に昇っていき、真夜中の頃に南の高い空で南中(南の空で一番高くなり、真南の方角を通過すること)します。その後は時間とともに西の空に移って高度を下げ、西北西の低い空で夜明けを迎えます。こうして、ほぼ一晩中観察することができます。
火星は深夜に空高く輝きますので、周囲に高い建物がある場合は深夜の方が観察しやすいでしょう。

今回の最接近では、いわゆる大接近と呼ばれるような時と比べると、望遠鏡を使って見たときの火星の大きさや、その明るさでは、少々控えめなものとなっています。しかしながら、南中高度では約80度にまで達し(東京の場合)、天頂近くの高い空に輝く火星を見ることができます。これは太陽の通り道である黄道が最も北に寄っている付近で、火星が最接近することによります。観察する場所の近くに高い建物や高い木があっても、ほとんどの場合で邪魔されずに見ることができるでしょう。

火星が見頃、月が火星に接近!

12月1日に地球に最接近した火星が、12月8日に「衝(しょう)」となります。「衝」とは、太陽系の天体が、地球から見て太陽とちょうど反対側になる瞬間のことです。この頃の火星は、太陽が沈むころに東北東の空から昇って、日の出のころに西北西の空に沈むので、一晩中観察することができます。なお火星は、この衝の頃にマイナス2.0等と最も明るく輝いて見られます。

火星の動き 2022年9月1日から2023年3月31日

火星などの惑星は、太陽の周りを公転しているため、星座の中での位置を変えていきます。星座の中を惑星が西から東(上の図では右から左)へと移動していくことを「順行」、東から西(同、左から右)へと移動していくことを「逆行」と言います。逆行は、太陽系の中で火星の内側を公転する地球が、火星を追い抜くように移動する際に、その移動する地球から見える現象です。

順行から逆行、または逆行から順行へと移動方向が変わるときには、惑星の移動が止まったように見えます。この現象のことを「留(りゅう)」といいます。2022年10月まで順行を続けていた火星は、10月30日の留を境に逆行へと転じます。その後、12月1日の地球最接近、12月8日の衝を経て、2023年1月13日の留まで火星の逆行は続きます。その後、再び順行へと転じます。

このように火星が順行から逆行、そして再び順行となって見えるのは、地球と火星が太陽の周りを公転している証拠でもあります。太陽系の惑星の動きへと思いをはせながら、星座の中の火星の移動を観察してみてはいかがでしょうか。

月が火星に接近 2022年12月7日〜8日19時頃 東京の星空

火星がちょうど衝を迎える頃、12月7日から8日にかけて、月がこの火星に近づいて見えます。12月8日は満月でもあり、まん丸の月に寄り添うように、赤っぽく明るく輝く火星の姿が目を引くことでしょう。満月と衝は、地球から見た天体が太陽と反対側になるという意味で同じ現象です。同じ日に起こるのは単なる偶然ですが、地球から同じ方向に見えるわけですから、この日に月と火星が近づいて見えるのも納得です。

月と火星が最も近づくのは12月8日の正午過ぎで、日本は昼間で見ることができません。日本で最も近づいて見えるのは、12月8日の夕方の月の出の直後で、その後、月と火星は高い空へと昇っていきながら少しずつ離れていきます。

ふたご座流星群が極大

ふたご座流星群と放射点 2022年12月14日22時頃 東京の星空

2022年のふたご座流星群の活動は、12月14日頃に極大を迎えます。12月13日夜から14日明け方にかけてと、14日夜から15日明け方にかけての2夜に渡って、普段よりも目立って多くの流星が見られそうです。ただ今年の場合は、深夜には下弦前の比較的明るい月が昇り、月明かりの影響を受けてしまいます。このため、月が高く昇らないうちの夜半前の時間帯の観察がおすすめです。

今年のふたご座流星群の予想極大時刻は12月14日22時頃で、日本で条件良く観察できる時間帯に当たっています。この日は、22時前に地平線から月が昇ってきますので(東京の場合)、月が高く昇る前の21時から真夜中0時頃が観察におすすめの時間帯となります。このときに空の暗い場所で観察した場合の流星数は、1時間あたり40個から45個と予想されます。真夜中を過ぎると、月が高くなり月明かりの影響が大きくなるため、見られる流星は、空の暗い場所でも1時間あたり30個前後に減ってしまうでしょう。
なお、極大前日の12月13日夜から14日明け方は、一夜を通じて、空の暗い場所で1時間に15個程度の流星が見られるものと予想されます。

流星は、放射点(「放射点」とは、流星群の流星が、そこから放射状に出現するように見える点)を中心に放射状に出現しますが、放射点付近だけでなく、どちらの方向にも現れますので、なるべく空の広い範囲を見渡すようにしましょう。また、屋外の暗さに目が慣れるまで、明るいスマートフォンの画面は見ずに、最低でも15分ほどは観察を続けると良いでしょう。レジャーシートを敷いて地面に寝転んだり、背もたれが傾けられるイスに座ったりすると、楽な姿勢で観察できます。たいへん寒い季節ですので、寒さ対策をしっかりして観察してください。温かい飲み物を持っていくのもいいですね!

月と土星、木星の接近!

月が土星、木星に接近 2022年12月26日〜30日18時頃 東京の星空

今月は地球に最接近する火星に注目が集まっていますが、夕方、南から南西の空には太陽系で最大の惑星の木星と、二番目に大きい惑星の土星が明るく輝き、こちらも目立っています。
この二大惑星に、月が相次いで接近します。土星との接近は12月26日から27日にかけて、木星との接近は12月29日です。この間に、月齢はおよそ3から6へと推移し、月の形は12月30日の上弦(半月)に向けて少しずつ満ちていきます。
この頃はもう年末。年の瀬に、月の形の変化も追いつつ、二大惑星との接近の光景を楽しむのも乙なものですね。

宙クリップ

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2022年12月の星空

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