2023年7月の天体情報

いよいよ夏本番。
七夕に夏休み、夏の行事が盛りだくさんの7月。
空は梅雨空が広がり、雨模様の日が多いですが、少し雲がはけたら夏の星が顔を出しています。
2023年の前半、夕空で真っ先に目についてきた金星は、今月に光度のピークを迎えますが、地平線からの高度は徐々に低くなり、下旬にはすっかり見づらくなってしまいます。空が暗くなると、東の空に目に入るのは夏の大三角、南の空にはさそり座が見えますので夏の星も見ることができますね。夜半前には土星、深夜になると木星が昇ってくるようになります。

2023年7月の星空
1日水星が外合 / 海王星が留
2日半夏生(太陽黄経100度)
3日満月
7日小暑(太陽黄経105度) / 地球が遠日点通過 / 金星が最大光度
10日下弦
18日新月
20日土用の入り(太陽黄経117度)
21日金星が留
23日大暑(太陽黄経120度)
26日上弦
31日このころ、みずがめ座δ(デルタ)南流星群が極大(見頃は極大を中心とした数日の深夜から未明。1時間に5個程度。月の条件はやや悪い)

惑星の見どころ

水星

水星

1日に外合となり、以後は日の入り後の北西から西の低空に位置するようになります。見かけの位置が太陽に近く、観察は難しいでしょう。

金星

金星

日の入り後の西の低空に見え、7日に最大光度となります。明るさは月初から20日過ぎまでマイナス4.7等を保ち、月末にはマイナス4.4等となります。

火星

火星

しし座を東に移動しています(順行)。宵の西の低空に位置し、明るさは1.7等。

木星

木星

おひつじ座を東に移動しています(順行)。日の出前の東から南東の空に見え、明るさはマイナス2.2等からマイナス2.4等。

土星

土星

みずがめ座を西に移動しています(逆行)。真夜中の南東の空に見え、明るさは0.7等から0.6等。

国立天文台Webサイトより引用

金星が最高光度!

金星が最大光度 2023年7月7日日の入り30分後 東京の星空

年明けから、日の入り後の西の空で「宵の明星」として輝いてきた金星。
7月7日の七夕に最大光度を迎えます。マイナス4.7等という明るさで輝き、澄んだ昼間の青空では肉眼でも見つけることができるほどです(白昼の金星を観察する際は、誤って太陽を見ないように十分注意してくださいね)。
このころの金星を望遠鏡で観察すると、三日月を思わせる細く欠けた姿をしています。
金星は、地球よりも内側を公転している惑星です。地球から見ると、太陽に照らされている面の見え方が異なるため、月のように満ち欠けをして見えます。さらに、地球からの距離が大きく変化することで、金星の見かけの大きさも変化します。

金星の満ち欠けと見かけの大きさの変化

地球から見て金星が太陽の向こう側に位置する「外合」のころ、金星は太陽の光が当たっている面のほぼ全体を地球に向けており、丸く満ちて見えます。しかし地球から金星までの距離は遠く、金星の視直径は小さくなります。そのため、明るさはマイナス3.9等ほどにとどまります。

外合を過ぎ、金星の見かけの位置が太陽から離れるにつれて、地球の側に回り込んでくる金星の、太陽の光が当たっていない影の部分が地球から見えてきます。このため、金星は徐々に欠けて見えるようになります。たとえば、金星の見かけの位置が太陽から最も離れる「最大離角」のころには半月のような形に見えます。見かけの形の変化と同時に、地球に近づくにつれて金星の視直径は大きくなっていきます。その兼ね合いで、徐々に金星の明るさが増していきます。

「最大光度」のころは、地球から見える金星面のうち太陽の光が当たっているのは4分の1ほどで、細く欠けた形に見えますが、視直径は外合の頃に比べて4倍近くも大きく見えるため、最も明るく見えることになるのです。

金星は、8月13日に地球から見て太陽の手前に位置する「内合」となります。この時に金星の視直径は最大になりますが、新月のようにほぼ影の部分を地球に向けているため、金星は一時的に暗くなっているはずです。こうした金星の満ち欠けは、約1年7カ月(583.9日)の周期で繰り返されます。金星の視直径が最大のころに最大光度でもし地球から見えたとしたら、金星の存在感に圧倒されそうですね。

明るい金星は、空の低い位置にあっても存在感を放っています。機会があれば望遠鏡を使って、金星の形の変化を観察してみてください。ただし、金星の位置が太陽に近い時期は、誤って太陽を見てしまうと大変危険ですので、観察の際には十分に注意してくださいね。

月が木星と金星に接近!

月が木星に接近 2023年7月12日 日の出1時間前 東京の星空

7月に入ると、夜半ごろに木星が地平線から昇ってくるようになります。12日には、月の出の直後に木星が姿を現し、並んで昇っていきます。下弦を過ぎて舟型に欠けた月と、マイナス2.2等と周囲の星よりも格段に明るい木星のペアは、未明には東の空で目を引くでしょう。
日の出を迎えるころに、月と木星は約1.5度の離角で並びます。双眼鏡では月と木星を同一の視野に収めてみることができますが、望遠鏡では低倍率でもはみ出してしまうでしょう。
早起きした日はぜひ明け方の空を眺めてみてください。

月が金星に接近 2023年7月20日 日の入り30分後 東京の星空

2023年の前半を通して「宵の明星」として目を引いてきた金星ですが、7月に入って日に日に高度を下げていきます。20日の日の入り後、金星は西の低空で月と接近して見えます。夕焼けに染まる空で、マイナス4.7等で鋭く輝く金星と細い三日月が並ぶ様子はとても幻想的に見えることでしょう。
ただし、日の入り30分後の金星の高度は10度しかないため、この様子を見るには西の方角に空の低いところまで見晴らしが開けた場所が必要です。街で観察するのは難しいかもしれません。20日は高層ビルの屋上にあるビアガーデンなどに行って、ビールを飲みながら惑星を眺めるのも乙ですね。

近くには、水星(マイナス0.4等)と火星(1.7等)もありますが、水星は高度が約7度と低く、また火星は夕焼けの残る空の明るさに埋もれてしまう程度の等級なので、肉眼で見つけるのは簡単ではなさそうです。

7月下旬には金星の見かけの位置は太陽にますます近づき、月末には見ることが難しくなります。8月13日には地球から見て太陽の手前を通過する「内合」となります。

日が長く梅雨空の多い7月ですが、夕暮れ時に輝く金星や、夏の定番、夏の大三角など、雲のない日は見どころが多いのでぜひ空に目を向けてみてくださいね。

宙クリップ

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2023年7月の星空

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