2023年11月の天体情報

11月が始まると、夜の訪れは一段と早くなり、空は急速に暗くなります。
3日は木星が衝に達し、南東の空で特に明るく輝いているのが見えます。この巨大な惑星が最も美しい姿を見せる時期ですので、ぜひ観測してみてください。

さらに南の空では、より柔らかい光を放つ土星が明るく見えます。
その近辺では、秋の星座の中で唯一の1等星、フォーマルハウトも確認できます。夕方はまだ西の空に夏の大三角が見られますが、夜が更けると、冬の大三角が東の空に現れ、季節の変わり目を示す美しい星空を楽しむことができます。

2023年11月の星空
3日木星が衝
5日下弦 / 土星が留
6日おうし座南流星群が極大(見頃は10月中旬から11月上旬まで。1時間2個程度)
8日立冬(太陽黄経225度)
13日新月 / おうし座北流星群が極大(見頃は11月上旬から中旬で、ほぼ一晩中見える。1時間に2個程度)
14日天王星が衝 / 14時頃、しし座流星群が極大(見頃は18日未明と19日未明。1時間に3個程度。月の条件は良い)
18日火星が合
20日上弦
22日小雪(太陽黄経240度)
27日満月

惑星の見どころ

水星

水星

日の入り後の南西の低空に位置しています。見かけの位置が太陽に近く、観察は難しいでしょう。

金星

金星

日の出前の南東の空に見えます。明るさはマイナス4.4等からマイナス4.2等。

火星

火星

月初はてんびん座を東に移動し、下旬にはさそり座に移ります(順行)。18日には合となります。太陽とほぼ同じ方向に位置しているため、観察は難しいでしょう。

木星

木星

おひつじ座を西に移動しています(逆行)。3日に衝(しょう)となり、見頃となります。真夜中に南から南西の空高く見えます。明るさはマイナス2.9等からマイナス2.8等。

土星

土星

月初はみずがめ座を西に移動していますが(逆行)、5日に留(りゅう)となり、以後は東向きの動きに転じます(順行)。留のころには、星空の中での土星の動きが止まったように見えます。宵の南から南西の空に見え、明るさは0.7等から0.9等。

国立天文台Webサイトより引用

衝を迎える木星が見頃

木星の観察シーズン到来

太陽が沈んだ後の南東の空では、木星が目を引くほどに明るく輝いており、11月3日には「衝」を迎えるため、これから観察するのに最適な時期に入ります。
この時期の木星は約マイナス3等星の輝きを放ち、大きな存在感を示しています。

「衝」とは、太陽系のある天体が地球から見て太陽の正反対に位置する瞬間を指します。
この時、惑星は地球に比較的近づき、見かけ上の大きさが増し、照らされる面が正面から見えるため影が少なくなり、結果としていつもよりも明るく見えるのです。
さらに、この期間中は夜の初めに東から昇り、真夜中には最高点に達し、夜明け前には西の空に沈むため、一晩中その姿を楽しむことが可能です。

木星の見どころ

機会があれば、木星を望遠鏡で観察してみてください。
秋から冬の期間は、天体観望会などで木星を見ることができるかもしれません。

小さな望遠鏡や双眼鏡でも、木星の明るい円盤形の姿とその周辺に直線上に並ぶ4つの小さな点を観察することができます。
これらは木星の周りを回る4つの大きな衛星で、イタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイによって発見されたため「ガリレオ衛星」と称されています。
これらの衛星は木星を周回しており、時間とともにその位置関係が変化していくのも観察できます。

さらに、大気が安定しているときには、高い倍率で木星を観察すると、その表面には複数の淡い赤褐色の縞模様を見ることができます。運が良ければ、写真で見るような楕円形の「大赤斑」を視認することも可能です。

11月に見頃を迎えるもう一つの惑星

11月、見頃を迎える惑星がもう一つあります。14日に衝となる天王星です。

天王星は、木星の近くに見えていますが、明るさは約6等級と、非常に条件の良い空でも肉眼で見える限界の明るさです。双眼鏡や望遠鏡などを使って探してみるとよいでしょう。

月が金星に接近

未明の空に、欠けた月と明けの明星が並ぶ

未明の空には明けの明星・金星が昇ってきます。11月9日から10日にかけては、この金星に月が近づいて見えます。このころの月は下弦から新月に向かって欠けていく途中の細い月です。月の欠けている側も、地球に反射した太陽光でうっすらと光って見えることがあります(地球照)。このような月と抜群に明るい金星が並ぶ様子を、日の出が近づき空が明るくなっていく中で楽しめるでしょう。

このころの細い月はいわゆる「三日月」をひっくり返したように見えますが、三日月とは新月を1カ月の初日として数える太陰太陽暦の日付で3日に見える月の呼称で、必ず夕方の空に見えます。9日の明け方に見える月は、10月15日の新月から数えて二十六日目の夜(二十六夜)の月ということになります。

明け方の空では、金星が明けの明星として昇っています。11月9日から10日にかけて、月が金星の近くに見えるようになります。この時期の月は、下弦の月から新月にかけて徐々に細くなっていく形をしています。
月の暗い部分も、地球から反射した太陽光によってかすかに照らされることがあります(これを地球照と言います)。この現象により、薄明るくなってくる空の中で、明るい金星と並んだ月の姿を観賞することができます。

この期間の細い月は、通常の「三日月」の形を反転させたように見えます。ただし、三日月は新月から始まる太陰太陽暦の3日目に見える月のことで、夕方に見られます。9日の未明に見える月は、10月15日の新月から26日経過した「二十六夜」の月であると言えます。

月が土星に接近

夕方、南の空で並ぶ半月と土星

11月20日の月は上弦です。日の入り頃に南中する半月が、夕方の空で目立っています。そのすぐ左(東)上側に見えるやや明るめの星は、土星です。土星の明るさは0.8等で、明るい星の少ない秋の夜空では目につきやすいでしょう。

月と土星の離角が最も小さくなるのは、月が沈んだ後の21日未明です。夜半前に西の空に沈む前にもう一度見て比べてみると、月と土星が夕方よりも近づいていることに気がつくでしょう。翌日の21日には、月は土星の左(東)まで移動しています。刻々と星座の中で位置を変えていく月の動きを感じることができるのではないでしょうか。

月が木星に接近

並んで昇っていく月と木星

今月衝となった木星は、西に沈んだ太陽と入れ替わるように、徐々に暗くなる東の空で輝き始めます。25日には、月が木星の近くを通ります。

満月2日前でかなり満ちた月は、日の入り前後のまだ明るい空でも目につきます。日の入りから30分ほど経つと、月のすぐ下側に小さく鋭い光が見えてくるでしょう。この明るい星が木星です。この夕方の時間帯に、月と木星は最も近づいて見えます。そのまま並んで昇っていく月と木星は、夜半前には空の高いところを通過。マイナス3等ほどの明るさで輝く木星はすぐそばにある月の明かりにも負けずに見えるでしょう。

月と木星は、未明に相次いで沈んでいきます。この頃には、夕方に比べて離角が大きくなっていることが見てわかるでしょう。月は、数時間のうちにも天球上を東に向かって明らかに移動しているのです。

宙クリップ

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