だんだんと日の入りの遅くなる7月、ようやく暗くなった空では、南西の高い位置に春の大三角が、東の低い位置に夏の大三角が見えています。下旬になると、春の大三角はぐっと低くなり、対照的に頭上高くまで昇った夏の大三角や南の空のさそり座が見つけやすく、夏の到来を感じる空となります。
夜半前には東の空から土星が昇ってきます。土星が南中する明け方には、東の空に火星と木星が相次いで現れます。土星は25日に土星食を起こしますが、白昼、青空の中の現象のため観察には向きません。
1日 | 半夏生(太陽黄経100度) / 土星が留 |
3日 | 海王星が留 |
5日 | 地球が遠日点通過 |
6日 | 小暑(太陽黄経105度) / 新月 |
14日 | 上弦 |
19日 | 土用の入り(太陽黄経117度) |
21日 | 満月 |
22日 | 大暑(太陽黄経120度) / 水星が東方最大離角 |
25日 | 土星食(小笠原諸島を除く全国で昼間に起こる ) |
28日 | 下弦 |
31日 | みずがめ座δ(デルタ)南流星群が極大(見頃は極大を中心とした数日間の深夜から未明。1時間に5個程度。極大期間の後半は月の条件が良い) |
惑星の見どころ
水星
日の入り後の西の空で高度を上げ、22日に東方最大離角となります。東京では7月10日から16日まで日の入り30分後の高度が10度を超え、見つけやすくなります。7月10日から16日までの明るさは0.0等から0.2等。下旬には徐々に高度を下げ、観察が難しくなります。
金星
日の入り後の北西から西の低空にあり、明るさはマイナス3.9等ですが、見かけの位置が太陽に近く、観察は難しいでしょう。
火星
おひつじ座を東に移動し、中旬にはおうし座に移ります(順行)。日の出前の東の空に見え、明るさは1.0等から0.9等。
木星
おうし座を東に移動しています(順行)。日の出前の東の空に見え、明るさはマイナス2.0等からマイナス2.1等。
土星
1日には留(りゅう)となり、以後はみずがめ座を西に移動します(逆行)。留のころには、星空の中での土星の動きが止まったように見えます。真夜中頃の南東の低空に見え、明るさは0.9等から0.8等。
※国立天文台Webサイトより引用
火星、木星と並ぶ明け方の月
日の出前二つの惑星の近くを通り過ぎる細い月
夜明け前の東の空では、火星の高度が次第に上がってきています。7月上旬には火星の明るさが1等級になり、赤い色がはっきりとわかります。低空には木星も見えるようになり、その明るさはマイナス2等級で、高度が上がるにつれて存在感が増していきます。日の出が近づくにつれて空が明るくなり、他の星が見えにくくなる中でも、木星は最後まではっきりと見えるでしょう。
2日には細い月が火星に接近して見えます。3日には月のすぐ近くにプレアデス星団(おうし座にある散開星団M45、日本では「すばる」として知られる)が見えます。月は4日にかけて木星を越えて北東の低空に移動していきます。これら数日の光景を観察すると、月が地球の周りを公転し、西から東に向かって1日で大きく位置を変えて見える動きが、惑星を基準にしてよくわかります。また、6日の新月(朔)に向かって日々細くなっていく月の変化も興味深いでしょう。
月が土星に接近
未明の空で近くに見える月と土星
7月の夜遅くには、東の空から土星が昇ってきます。土星が南中する未明の南の空には、ちょうど秋に見られる星座が広がっており、明るい恒星と言えばやや低い位置に輝く1等星のフォーマルハウト(みなみのうお座)のみ。その中で、1等級以上の明るさで高く昇った土星は、ひときわ目立つでしょう。
25日には、この土星に月が接近します。満月から3日ほど過ぎた月はまだ十分に明るく、土星がやや見えにくくなるかもしれませんが、薄明が始まるまで、双眼鏡の視野で同時に観察することができます。
白昼に起きる土星食
未明の空で、離角が1.5度前後と双眼鏡の視野に収まるほど近い距離に見える土星と月が、西の空に傾きながらさらに接近していきます。そして、日の出後の空で土星は月に隠されます。この現象を「土星食」と呼びます。東京での予報では、6時30分に月の明るい縁が土星を覆い始め、約40秒かけて完全に隠します(潜入)。土星が月の暗い縁から再び現れるのは、7時23分から24分にかけての頃です。日本では青空の中で起こるため、肉眼での観察は難しいでしょう。
ひと月で巡る月が再び火星、木星に接近
月初に続いて、2つの惑星の近くに再び戻ってくる月
7月の夜明け前、東の空には約1等級の火星とマイナス2等級の木星が輝いています。7月の初めにこの2つの惑星の近くを通過した月は、約27日の周期で天球を1周し、月末には再びこれらの惑星の近くに戻ってきます。
30日には、月がプレアデス星団(おうし座にある散開星団M45、和名「すばる」)に接近し、双眼鏡で同じ視野に収めることができるほどです。この日は、月が赤く輝く火星の西側に位置しています。翌31日には、月は東へ進み、火星を通り越して木星と並んで見えるようになります。
明るい惑星と欠けた月の会合は、夜明け前の空で美しい光景を見せてくれるだけでなく、月が地球の周りを公転し、恒星や惑星が日々少しずつ早く昇る様子を観察する良い機会にもなります。