9月には、8日に「衝(しょう)」を迎える土星に注目してみましょう。この時期の惑星は、一晩中空に見えるのが特徴です。さらに、土星が月に見かけ上最も接近するのが17日で、この日は中秋の名月でもあります。ここ数年、中秋の名月と満月が同じ日に重なっていましたが、今年は翌日が満月となります。加えて、夜遅くには東の空に木星と火星も昇ってきますので、明け方まで夜空には土星、木星、火星の3つの惑星が見られるでしょう。
2日 | 天王星が留 |
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3日 | 新月 |
5日 | 水星が西方最大離角 |
7日 | 白露(太陽黄経165度) |
8日 | 土星が衝 |
11日 | 上弦 |
17日 | 中秋の名月 |
18日 | 満月 / 部分月食(日本では見られない) |
19日 | 彼岸の入り |
21日 | 海王星が衝 |
22日 | 秋分(太陽黄経180度) |
25日 | 下弦 |
惑星の見どころ
水星
日の出前の東の空で高度を上げ、5日に西方最大離角を迎えます。東京では9月3日から9日まで、日の出30分前の高度が10度を超え、見つけやすい状況になります。この期間中、水星の明るさは0.1等からマイナス0.7等に変わります。中旬を過ぎると徐々に高度が下がり、観察が難しくなります。
金星
日の入り後の西から南西の低い空に見えます。明るさはマイナス3.9等です。
火星
おうし座を東に移動し、上旬にはふたご座に入ります(順行)。真夜中頃には東の空に昇り、日の出前には高い位置に見えます。明るさは0.7等から0.5等です。
木星
おうし座を東に移動中で(順行)、夜半前に東の空に昇ります。日の出前には南東から南の高い空に見え、明るさはマイナス2.3等からマイナス2.5等です。
土星
みずがめ座を西に移動中で(逆行)、8日に衝を迎えます。見頃となり、真夜中には南から南西の空に見えます。明るさは0.6等から0.7等です。
※国立天文台Webサイトより引用
土星が見頃
土星が衝(しょう)を迎える(9月8日)
環が特徴的で人気のある土星が、9月8日に「衝」を迎え、観察に最適な時期となります。衝とは、太陽系の天体が地球から見て太陽の反対側に位置する瞬間のことです。衝の時期の土星は、日没時に東の空から昇り、真夜中には南中し、日の出頃には西の空に沈むため、一晩中観察することができます。
衝の時期の土星は0.6等と明るく、秋の星座の中にあるため、周囲に明るい星が少なく、見つけやすいでしょう。ぜひ夜空を見上げてみてください。
土星の環は約15年周期で変化します。これは、土星が太陽の周りを公転する際に、地球から見た環の傾きが変わるためです。今年は環の傾きが小さく、環が非常に細く見えます。来年、2025年には環が真横から見える状態になり、ほとんど見えなくなります。
土星の環は小さな望遠鏡でも確認でき、愛らしい姿を楽しむことができます。ぜひ機会があれば、望遠鏡で観察してみてください。また、地域の天文台や科学館で行われる天体観望会に参加するのもおすすめです。
中秋の名月
名月が必ずしも満月ではない
2024年の中秋の名月は9月17日です。「中秋の名月」とは、太陰太陽暦(注)の8月15日の夜に見える月を指します。この習慣は平安時代に中国から伝わったもので、日本では農業行事と結びつき、「芋名月」などとも呼ばれることがあります。
ここ数年、中秋の名月と満月が同じ日に重なっていましたが、今年は9月17日が中秋の名月、翌日の18日が満月で、日付が1日ずれています。
太陰太陽暦では、新月(朔)の瞬間を含む日がその月の朔日(ついたち)となります。今年は9月3日(新月の瞬間は10時56分)が太陰太陽暦の8月1日にあたり、9月17日が8月15日となります。一方、天文学的な満月(望)は、地球から見て太陽と反対方向に位置する瞬間の月を指します。満月の時刻は9月18日11時34分です。このように、中秋の名月と満月の日付が異なることはよくあります。詳細は、国立天文台暦計算室のウェブサイト「名月必ずしも満月ならず」をご覧ください。次に中秋の名月と満月が同じ日になるのは2030年です。
また、今年の中秋の名月の近くには土星が見えます。ただ、満月に近い月は非常に明るいため、土星(0.6等)は少し見づらいかもしれません。お月見の際には、ぜひ土星にも注目してみてください。
さらに、太陰太陽暦の9月13日の夜には「十三夜」と呼ばれるお月見の習慣があります。十三夜は「後の月」「豆名月」「栗名月」とも呼ばれ、日本ではこの夜にもお月見を楽しむ風習があります。今年の十三夜は10月15日です。
月が木星、火星に接近
月と2つの惑星が接近!
9月には、木星と火星が夜遅くに東の空から昇り、日の出前には南東の高い空に見えるようになります。
9月23日から26日にかけて、月が木星と火星の近くを通過します。24日には月が木星のそばに見え、25日には下弦の月となり、木星と火星の間に位置します。マイナス2.4等の木星は明るい半月の隣でもしっかりと輝いて見えるでしょう。それに対して0.5等と比較的穏やかな輝きの火星は、月の明るさに隠れて見づらくなるかもしれません。月や木星の位置を手掛かりに、火星を探してみてください。