11月に入ると日の入りが早まり、夜が長くなったことを実感するようになります。日の入り直後、南西の空には金星が輝き、月末にかけて少しずつ高度が上がっていきます。金星が沈んだ後は、南の空に土星が見え、その後、東の空から木星が昇り始めます。真夜中頃、木星が高く昇る頃には東の空に火星も姿を現します。今月は、夜空に点在する惑星たちを月が満ち欠けしながら順に訪れていく様子に注目してみましょう。
1日 | 新月 |
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5日 | おうし座南流星群が極大(見頃は10月中旬から11月上旬まで。1時間に2個程度。11月上旬は月の条件が良い) |
7日 | 立冬(太陽黄経225度) |
9日 | 上弦 |
12日 | おうし座北流星群が極大(見頃は11月上旬から中旬で、ほぼ一晩中見える。1時間に2個程度。11月上旬は月の条件が良い) |
16日 | 満月 / 土星が留 / 水星が東方最大離角 |
17日 | 天王星が衝 / 21時頃、しし座流星群が極大(見頃は11月18日未明。1時間に3個程度。月の条件は悪い) |
22日 | 小雪(太陽黄経240度) |
23日 | 下弦 |
26日 | 水星が留 |
惑星の見どころ
水星
日の入り後の南西の低空に位置しています。16日に東方最大離角を迎えますが、日の入り30分後の高度は10度に満たず、観察は難しいでしょう。その後、さらに高度が下がり、観察しづらくなります。
金星
南西の空に日の入り後見えます。明るさはマイナス4.0等からマイナス4.2等です。
火星
かに座を東に進んでおり(順行)、真夜中には東の空に見えます。明るさは0.1等からマイナス0.5等へと増していきます。
木星
おうし座で西向きに動いており(逆行)、日の入り少し後に東の空に昇り、真夜中には東から南の高い位置に見られます。明るさはマイナス2.7等からマイナス2.8等です。
土星
中旬まではみずがめ座を西に進んでいますが(逆行)、16日に「留」を迎え、それ以降は東向きに動き始めます(順行)。留の頃には星空の中で土星の動きが止まったように見えます。宵の南から南西の空に位置し、明るさは0.8等から0.9等です。
※国立天文台Webサイトより引用
夕方の南西の空に、細い月と金星が見える
日が沈んだら、すぐに南西の空を見よう!
11月は1日が新月で、3日には三日月になります。日付と月の名称が一致するため、わかりやすいですね。
4日と5日には、三日月より少し太めの細い月が、まだ完全に暗くなっていない夕方の南西の低い空に金星と一緒に見られます。
日の入りから30分後の空にはまだ少し明るさが残っていますが、金星は約15度の高度にあり、空が暗くなる頃にはかなり低くなります。
それでも、マイナス4等級の金星は明るさが残る空でも見つけやすいでしょう。日没後はすぐに南西の空をチェックしてみてください。
宵の南の空で、土星と月が並ぶ
宵の南の空を見上げてみよう
11月10日と11日には、宵の南の空で上弦を過ぎた月と0.8等級の土星が並んで見えます。10日には月が土星の西側に位置していますが、11日には東側に移動しており、一晩で月の位置がどれほど変わるかがよくわかるでしょう。なお、土星と月が最も接近するのは11日の10時頃ですが、残念ながら日本では昼間のため観察できません。
土星の真下には、秋の星座で唯一の1等星であるみなみのうお座のフォーマルハウトが輝いています。日本では「秋のひとつ星」や「南のひとつ星」とも呼ばれるこのフォーマルハウトは、秋の澄んだ空気にふさわしい、落ち着いた白い輝きを放っています。
木星と月の接近
明るい月と木星に注目!
11月17日、西の空に金星が沈む頃、東の空には満月を1日過ぎて少し欠けた月と、マイナス2.8等級の木星が昇ってきます。この夜、月と木星は夜明けまで近くに見えますが、最も接近するのは20時頃です。
月の通り道である白道と、惑星が移動する黄道が近接しているため、月は毎月異なる惑星と接近します。最も明るい惑星は金星ですが、金星が見られるのは夕方の西の空か、明け方の東の空に限られます。そのため、月が金星に接近する時は三日月のように細く欠けた形になります。二番目に明るい木星は、夕方に東の空に昇る際、満月近くの丸い月とも並ぶことがあり、まぶしい月の隣でもその輝きが失われないのは、太陽系最大の惑星である木星ならではの存在感と言えるでしょう。
月と木星が高い空に昇る頃には、東の空にマイナス0.2等の火星も姿を見せ、背景に広がる冬の星座とともに夜更けの東の空は一層にぎやかになります。ただし、ほぼ満月の強い光があるため、星々の輝きはやや弱く感じられるかもしれません。
真夜中の月と火星の接近
真夜中、東の空に注目!
11月20日の深夜、東の空には下弦に向かって欠け始めた月があり、その近くにマイナス0.3等の火星が見えます。この後、日付が変わって21日の夜明けまで、月と火星は徐々に距離を縮めながら移動していきます。最も接近するのは21日の朝9時頃ですが、その頃には空が明るくなり、肉眼で火星を見るのは難しくなります。
今月は月初から、月が金星、土星、木星、火星と次々に惑星のそばを通り過ぎていきました。月の通り道である白道と、太陽や惑星が移動する黄道が近接しているため、こうした接近が毎月見られます。また、季節が変わるごとに背景の星座も異なるため、さまざまな情景を楽しむことができます。21日に木星の近くに見えた月は、日が経つごとに東へ移動し、23日には火星の近くに見えるようになります。夜更かしや早朝の起床ができるなら、ぜひ深夜や夜明け前の時間帯に観察してみてください。