2025年8月の天体情報

8月、日が沈んで空が暗くなる宵の頃には、夜空の高い位置に夏の大三角が輝いて見えます。夏の星座を見つけるための絶好の目印となるでしょう。空の暗い場所であれば、夏の大三角付近から南の空へと流れるように広がる天の川の淡い光も楽しめます。

今月の中旬は、肉眼で楽しめる天文現象が多く見られます。12日から13日未明にかけては金星と木星が接近し、同じ12日の夜には月が土星のそばに寄り添います。

さらに、ペルセウス座流星群が12日深夜から13日未明にかけて見ごろを迎えます。月明かりの影響で最良の条件とはいきませんが、いくつもの流れ星を観察できるでしょう。

また、19日には水星が西方最大離角となり、観察に適した時期を迎えます。

2025年8月中旬 21時頃 東京の星空 国立天文台
1日上弦 / 水星が内合
7日立秋(太陽黄経135度)
9日満月
11日山の日 / 水星が留
13日5時頃、ペルセウス座流星群が極大(見頃は12日深夜から13日未明。1時間に30個程度。極大は夜明け後。月の条件は悪い)
16日下弦
19日水星が西方最大離角
23日処暑(太陽黄経150度) / 新月
29日伝統的七夕
31日二百十日 / 上弦
目次

惑星の見どころ

水星

水星

1日に内合を迎え、その後は日の出前の東の低空に姿を現します。19日には西方最大離角となり、東京では17日から24日にかけて、日の出30分前の高度が10度を超えるため観察しやすいでしょう。この期間の明るさは0.3等からマイナス0.6等で、月末にかけてさらに明るくなるため、高度が下がっても見つけやすい状況が続きます。

金星

金星

夜明け前の東の空に見えています。明るさはマイナス4.0等からマイナス3.9等です。

火星

火星

おとめ座を順行して東へ移動しています。日の入り後、西の低い空に見えますが、明るさは1.6等。下旬になると太陽に近づくため、観察が難しくなるでしょう。

木星

木星

ふたご座を順行中で、日の出前の東の空に輝いています。明るさはマイナス1.9等からマイナス2.0等です。

土星

土星

うお座を逆行しながら西へ移動しています。日の入りからおよそ3時間後には東の空に見られ、明るさは0.8等から0.7等です。

国立天文台Webサイトより引用

スター・ウィーク

2025年
スター・ウィーク
2025年8月上旬
20時頃
東京の星空

星空に親しむ一週間

毎年8月1日から7日は「スター・ウィーク~星空に親しむ週間~」です。スター・ウィークは、より多くの人に星空を身近に感じてもらうことを目的に、1995年から続いているキャンペーンです。8月上旬は、全国的に梅雨明けを迎えて天候が安定し、星空観察に適した季節です。この期間を中心に、全国各地で天体観望会などの関連イベントが催されています。

金星と木星が接近

金星と木星が接近

11日から13日の未明、東の空で明るい惑星同士が接近

春から夜明け前の東の空で「明けの明星」として輝いてきた金星が、11日から13日の未明に木星と接近します。マイナス4.0等の金星とマイナス1.9等の木星が並んで輝く光景は、とても目を引くことでしょう。両惑星は冬の星座であるふたご座の中を少しずつ移動しています。夜明け前の空に寄り添う二つの明るい惑星と、背景に広がる冬の星座の組み合わせは、暑さ厳しい昼間をしばし忘れさせてくれるような眺めとなりそうです。

月が土星に接近

月が土星に接近
2025年8月11日~13日.22時頃
東京の星空

12日の夜は月と土星に注目

8月12日の宵から13日の未明にかけて、月と土星が並ぶ様子を観察することができます。12日の20時過ぎに月は土星に最も近づきますが、その時間帯には多くの地域で土星がまだ地平線の下にあり、見ることはできません。東京では土星が東の空に昇るのは20時30分頃です。夜が更けた22時頃には、0.7等級で輝く土星のそばに、満月を過ぎた明るい月が並んで輝き、その光景を一晩中楽しむことができるでしょう。

ペルセウス座流星群が極大

ペルセウス座流星群と放射点
2025年
:8月13日午前 3時頃
東京の星空

月明かりに負けない明るい流星に期待

三大流星群の一つであるペルセウス座流星群が、いよいよ見ごろを迎えます。2025年の活動の極大は8月13日5時頃と予想されていますが、この時間帯には日本の多くの地域で薄明が始まっているか、すでに日の出を迎えており、星がほとんど見えない状況です。そのため、観察に適したのはその直前、12日深夜から13日未明にかけてとなります。ただし、今年は明るい月が出ているため、例年に比べて見える流星の数は少なくなりそうです。それでも、月明かりに負けない明るい流星が現れることに期待しましょう。

特に流星が多く見られるのは、11日の夜から13日の夜にかけての3夜程度です。これらの夜には、21時頃から流星が出現し始め、夜半を過ぎて薄明が近づく頃にかけて出現数が増えると予想されます。

最も多く流星が見られると考えられるのは、13日明け方(東京では3時台)で、空の暗い場所であれば1時間に30個程度が期待できます。前日の12日明け方3時台では15個程度、翌日の14日明け方3時台では20個程度と予想されます。

流星は放射点を中心に放射状に出現しますが、放射点付近に限らず空全体に現れます。いつどこで見えるかわからないため、できるだけ広い範囲を見渡すようにしましょう。今年は月が明るく輝いているため、月を視界に入れないようにするのがおすすめです。また、目が暗さに慣れるまで最低15分程度は観察を続けると良いでしょう。レジャーシートを敷いて寝転ぶ、あるいは背もたれを倒せる椅子に座るなど、楽な姿勢で観察できるよう工夫してください。夏でも夜明け前は冷えることがありますので、防寒対策も忘れずに。事故に注意し、マナーを守って観察を楽しみましょう。

水星が西方最大離角

水星が西方最大離角
2025年8月12日~30日
日の出 30分前
東京の星空

日の出前の東の空に注目 !

水星は太陽系で最も内側を公転する惑星です。そのため、見かけの位置が太陽から大きく離れることがなく、観察しやすいのは「最大離角」の前後に限られます。

2025年8月19日には、水星が西方最大離角を迎えます。東京では8月17日から24日にかけて、日の出30分前の高度が10度を超えるため、比較的見つけやすいでしょう。さらに24日を過ぎて高度が10度を下回っても、この時期の水星は明るさがマイナス1等ほどあるため、8月末までは観察の好機が続きそうです。

水星よりも高い位置には、マイナス3.9等で輝く金星があり、さらにその上にはマイナス1.9等の木星も輝いています。水星を探す際には、あわせて明るい金星や木星の姿も楽しんでみましょう。

ただし、水星は空の低い位置に見えるため、周囲に山や高い建物があると見つけにくくなります。東の空が開けた場所を選び、雲のないよく晴れた日の観察が理想的です。それでも、夜明け前のまだ明るい空で水星を見つけるのは簡単ではありません。そのようなときには双眼鏡を使うと見つけやすくなりますが、必ず太陽が昇る前に観察を終えるよう注意してください。

伝統的七夕

2025年
2025年
伝統的七夕
8月29日20時頃
東京の星空

伝統的七夕の日に注目

国立天文台では、太陰太陽暦(いわゆる旧暦)の7月7日にあたる頃を「伝統的七夕」と呼び、2001年から広く紹介しています。今年の伝統的七夕は8月29日です。現在の暦の7月7日は梅雨の時期に重なることが多いため、星を見るにはあまり適していませんが、伝統的七夕の頃は夏の澄んだ夜空が広がることが多く、星空観察に適した時期といえます。今年は8月末とやや遅い時期にあたるため、夏休みが終わった方もいるかもしれませんが、晴れた夜にはぜひ空を見上げてみてください。

伝統的七夕の日の夕方、南西から西南西の空には半月より少し細い月が輝いています。夜空が暗くなり始めると、頭上近くに七夕でおなじみの織姫星(こと座の1等星ベガ)と彦星(わし座の1等星アルタイル)が現れます。そして、はくちょう座の1等星デネブと結ばれることで、夏の大三角を形作ります。さらに夜が更けて月が沈む頃、空の暗い場所では、織姫星と彦星の間を通り南の空へと続く淡い天の川をたどることもできるでしょう。

宙クリップ

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2025年8月中旬 21時頃 東京の星空 国立天文台

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