今月は、9月8日に皆既月食が起こります。日本全国で観察できる皆既月食は、約3年ぶりとなります。また、月が金星や木星に近づく様子も楽しめます。土星は観察に適した時期を迎えており、夜を通して空に輝いています。

6日 | 天王星が留 |
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7日 | 白露(太陽黄経165度) |
8日 | 満月 / 皆既月食(日本では全国で皆既食が見られる) |
13日 | 水星が外合 |
14日 | 下弦 |
20日 | 彼岸の入り |
21日 | 土星が衝 |
22日 | 新月 / 部分日食(日本では見られない) |
23日 | 秋分(太陽黄経180度) / 海王星が衝 |
30日 | 上弦 |
惑星の見どころ

水星
月の前半は、日の出前の東の低い空に見えます。13日に外合を迎えたあとは、日の入り後の西の低空に移動しますが、太陽に近い位置にあるため、観察は難しい状況です。

金星
明け方の東の低空に姿を見せています。明るさはマイナス3.9等です。

火星
日没直後の西の低い空に位置しています。ただし、太陽の近くに見えるため、観察は困難でしょう。

木星
ふたご座を順行しながら東へ移動しています。明け方の東の空に見え、明るさはマイナス2.0等からマイナス2.1等となっています。

土星
うお座を逆行しつつ西へ移動し、月の下旬にはみずがめ座へと入ります。21日に衝を迎え、この時期は夕方に東の空に現れ、真夜中頃に南中します。明るさは0.7等から0.6等です。
※国立天文台Webサイトより引用
皆既月食

日本全域で見られるのは約3年ぶり
2025年9月8日、日本全国で皆既月食を観察することができます。これは、2022年11月8日以来、約3年ぶりの機会となります。今回の皆既月食は、9月7日の夕方に昇った満月が、日付が変わった8日午前1時27分に欠け始めるところから始まります。月が完全に地球の影に入る皆既食は、午前2時30分から3時53分まで続き、その後、午前4時57分に部分食が終了します。深夜から明け方にかけての天体ショーですが、赤銅色(しゃくどういろ)に染まる幻想的な月の姿を楽しんでみてはいかがでしょうか。なお、月食の進行時刻は、日本のどの地域でも共通です。
月食中の各地での月の高度
月食中の各地での月の高度
部分食の 始まり 1時27分 | 皆既食の 始まり 2時30分 | 食の最大 3時12分 | 皆既食の 終わり 3時53分 | 部分食の 終わり 4時57分 | 月の入り | |
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札幌 | 33.0度 | 25.4度 | 19.5度 | 13.1度 | 2.7度 | 5:14 |
仙台 | 37.1度 | 28.7度 | 22.2度 | 15.2度 | 3.9度 | 5:20 |
東京 | 39.7度 | 31.0度 | 24.2度 | 17.0度 | 5.2度 | 5:26 |
京都 | 42.1度 | 34.0度 | 27.4度 | 20.2度 | 8.5度 | 5:43 |
福岡 | 45.6度 | 38.2度 | 31.9度 | 24.8度 | 13.1度 | 6:07 |
那覇 | 53.4度 | 45.1度 | 38.1度 | 30.3度 | 17.4度 | 6:22 |
同日の夜空に土星と接近した月が見える
9月8日未明、皆既月食を終えて地平線に沈んだ月が、同日の夕方に再び東の空に昇ってくると、そのすぐ近くに明るく輝く星が見えます。これは土星です。土星は、翌9日午前2時ごろに月に最接近し、およそ3.2度まで近づきます(注)。
月が木星、金星が接近

真夜中の空に仲良く昇る月と木星
9月16日20時頃、月は木星におよそ4度まで接近します。その後、17日深夜0時過ぎには、東の空から並んで昇ってくる姿を見ることができます。新月を迎える22日に向けて細くなっていく月と、明るく輝く木星が寄り添うように見える光景を楽しめるでしょう。
夜明け前の空で細い月と金星が並ぶ
9月19日から20日にかけて、夜明け前の東の低空に、細い月と金星が並んで見られます。19日の夜にはカナダなどで月が金星を隠す「金星食」が起こりますが、日本ではまだ月が地平線の下にある時間帯のため観察できません。東京では19日2時31分に月が昇り、金星とは約3度離れて見えます。東の空が開けた場所で、並んで昇る二つの天体を観察してみましょう。
土星が見頃

土星を見るチャンス
9月21日、土星が「衝(しょう)」を迎え、観察に最適な時期となります。衝とは、地球から見て太陽のちょうど反対側に天体が位置する現象のことです。この時期の土星は、日没時に東の空に昇り、深夜に南中し、日の出時に西の空へと沈んでいくため、ほぼ一晩中観察が可能です。
細く見える土星の環に注目
「環(わ)」のある惑星として人気の土星ですが、2025年は少々様子が違います。

土星の環は、その公転軌道に対してわずかに傾いており、地球から見た際の傾きが約15年周期で変化します。今年は、環をほぼ真横から見るタイミングにあたり、3月には環が視線と重なって見えなくなる現象もありました。ただし、3月から4月中旬にかけては太陽に近すぎたため、観察には不向きでした。
そしてこの秋、土星が観望しやすい時期になっても、環の傾きは小さいままで、例年より細く見える状態が続きます。もし望遠鏡で土星を観る機会があれば、普段と異なる環の見え方にもぜひ注目してみてください。