NASAは2025年5月21日、静粛超音速実験機X-59が統合システム地上試験「アルミニウムバード」を完了したと発表しました。試験では機体をハンガー内で“仮想飛行”させ、ハードウェアとソフトウェアが連携してパイロット入力や意図的なシステム故障に対応できるか検証しました。

目次
統合試験で何を確認したのか
機体は飛行制御面、電力、油圧、環境制御、通信など大部分のサブシステムを稼働させ、エンジンのみ停止した状態でテストベンチと接続。高度・速度・気温といった仮想データを入力し、パイロットが操縦桿を操作すると制御面が実際に動くかを確認しました。
“静かな超音速”実証へ一歩前進
X-59はソニックブームを「ソニックサンプ(静かな衝撃音)」に抑える機体形状を採用。2025年末に予定される初飛行後、米国内の協力都市上空で飛行データと住民アンケートを取得し、将来の静粛超音速旅客機の法整備に役立てます。今回の試験完了で、初飛行前の主要チェックリストがまた一つクリアされました。
今後のスケジュール
- 2025年夏 ― エンジン始動試験・タキシング試験
- 2025年末 ― 初飛行
- 2026〜27年 ― 選定都市での静音データ収集キャンペーン
参考・出典
- NASA Image Article「Another Milestone for X-59」(2025-05-21) https://www.nasa.gov/image-article/another-milestone-for-x-59/
- NASA Aeronautics「X-59’s Latest Testing Milestone: Simulating Flight from the Ground」 https://www.nasa.gov/aeronautics/x-59-aluminum-bird/
- 画像出典:Lockheed Martin/Garry Tice/ p25-037-35orig.jpg
原文筆者:Jim Banke(NASA)
翻訳:宙クリップ編集部