5月26日の夜、日本全国で観察することができる皆既月食が起こります。
北海道西部、東北地方西部、中部地方西部、西日本では欠けた状態の月が昇ってくる「月出帯食」を見ることができます。
月の出以外の時刻は各地同じで、月は18時45分から欠け始め、20時09分に皆既食となります。
皆既となった月は、「赤銅色(しゃくどういろ)」と呼ばれる、妖艶は雰囲気を醸し出す赤黒い色に見えます。皆既食は20時28分に終わり、その後は徐々に欠けた部分が小さくなっていき、21時53分に部分食が終わります。
主な都市での月食予報
各地での予報は下の表のとおり。
都市名 | 月の出 | 部分食の始まり | 皆既食の始まり | 食の最大 | 皆既食の終わり | 部分食の終わり |
那覇 | 19時07.3分 | 月は地平線の下 | 20時09.4分 | 20時18.7分 (食分1.015) |
20時28.0分 | 21時52.8分 |
福岡 | 19時11.8分 | 月は地平線の下 | ||||
京都 | 18時52.7分 | 月は地平線の下 | ||||
東京 | 18時37.5分 | 18時44.6分 | ||||
仙台 | 18時39.5分 | |||||
札幌 | 18時51.4分 | 月は地平線の下 |
大きく見える満月「スーパームーン」
たまに耳にする「スーパームーン」とは何でしょう。
「スーパームーン」を一言で表すと「大きく見える満月」のことです。
月は、地球の周りを公転しています。月の軌道は円形ではなく楕円形をしているため、地球と月との距離は一定ではありません。また、月の軌道は太陽や地球などの重力を受けて変化するため、満月や新月のときの距離は、上の図のように毎回異なります。地球に最も近い位置で起こる満月は、最も遠くで起こる満月に比べて、視直径が約14パーセント大きく、約30パーセント明るく見えます。
5月26日の満月は、2021年で地球に最も近い満月でもあります。月は5月26日10時50分に近地点(注1)を通過し、皆既中の20時14分に満月の瞬間(望)となります。このときの地心距離(注2)は約35万7000キロメートル、月の視直径(注3)は33分25秒角です。
- 注1)近地点・遠地点:1公転の間で月が地球に最も近づく点を「近地点」地球から最も遠ざかる点を「遠地点」といいます。
- (注2)地心距離:地球の中心と天体の中心(この場合は月の中心)の間の距離。実際には私たちは地表から月を見ているため、地心距離が同じであれば、頭の真上近くに見える月は地平線近くに見える月よりも、地球の半径分(約6400キロメートル)私たちに近いことになります。
- (注3)視直径:天体の見かけの大きさで、角度で表します。このページで示している視直径は地心距離に基づいて計算しています。
2021年で最も遠い満月は、12月19日です。上の図で比較すると、月の大きさの違いがわかりやすいのですが、実際の夜空に月を二つ並べて比較することはできません。月を眺めて大きさの変化に気づくのは、たいへん難しいでしょう。
最近では「スーパームーン」など、興味を持ちやすい名称もよく聞くようになりました。この名称を耳にし、それをきっかけに月を、そして空を眺めてみたという方もいらっしゃるでしょう。
月は双眼鏡などでもその地表の形状や陰影も確認できる、地球にいる私たちから一番大きく見える星で、一番身近に宇宙を感じることができる星です。
地球以外の数多くの星のひとつをとっても、こんなにも幻想的な世界がある宇宙のおもしろさに、ぜひ目を向けてみてください。
国立天文台のWebサイトでは、下記のライブ配信を予定しています。