ispaceは、2026年3月期の通期決算を発表しました。決算短信や説明資料、説明会の録画・書き起こしは、同社のIRサイトで順次公開されます。

2026年3月期は、前半にミッション2で月面着陸は未達だった一方、ランダーの課題特定を通じて知見を蓄積しました。後半は、約180億円の第三者割当増資と公募増資、宇宙戦略基金第二期への採択、欧州宇宙機関(ESA)での予算確保、新ランダー「ULTRA」の発表、米国ミッションのスケジュール再設定など、次の成長に向けた基盤整備が進んだ1年としています。
同社は、月面輸送が単発の実験から高頻度なインフラへ移行しつつあると位置づけています。営業面では、韓国のURL社、英国レスター大学とのペイロードサービス契約や、清水建設との月面データセンター建設検討に関する基本合意を挙げ、「ULTRA」の開発を通じて商業化水準の月面着陸技術の確立を目指す方針です。
2026年3月期の業績
損益計算書
| プロジェクト収益 | 5,890百万円 |
|---|---|
| 概要 | 主にミッション3におけるSBIR補助金収入の増加により、前期比18%増 |
| 売上高 | 3,307百万円 |
| 概要 | 主にミッション5におけるエンジン開発遅延などにより、前期比26%減 |
| 売上総利益 | △2,853百万円 |
| 概要 | エンジン変更やスケジュール変更に伴う損失を売上原価に計上。ランダーモデル統合の影響として、2027年3月期第1四半期に36億円を計上予定 |
| 当期純損益 | △8,152百万円 |
| 概要 | 補助金収入の増加により、前期比では赤字縮小 |

貸借対照表
| 現預金 | 29,690百万円 |
|---|---|
| 概要 | 期中の金融機関借入と増資により前期末比で増加 |
| 前渡金 | 9,507百万円 |
| 概要 | 主に新ミッション3と新ミッション5の部材調達に伴い増加 |
| 有利子負債 | 29,443百万円 |
| 概要 | 2025年5月の借入実施(合計150億円)により増加 |
| 純資産 | 15,173百万円 |
| 概要 | 2025年10〜11月に実施した増資(182億円)により増加 |

キャッシュフロー計算書などの詳細は、通期決算資料を参照するよう案内されています。
2027年3月期の業績予想
| プロジェクト収益 | 9,000百万円 |
|---|---|
| 概要 | ミッション3のSBIR補助金増加と、ミッション4での宇宙戦略基金受領開始により前期比50%増を見込む |
| 売上総利益 | △6,000百万円 |
| 概要 | ランダーモデル統合とエンジン変更に関する減損36億円の一部を米国会計基準に基づき売上原価で計上予定 |
| 営業損益 | △17,700百万円 |
| 概要 | ミッション3の本格開発に伴う研究開発費増加と、人員増による販管費増加を見込む |
| 当期純損益 | △13,000百万円 |
| 概要 | ミッション3のSBIR補助金とミッション4の宇宙戦略基金を営業外収入として計上予定 |

CFOコメント
「3月に発表いたしましたランダーの統合やエンジン変更、米国ミッションのスケジュール変更などは、短期的なマイナスを伴いつつも、中長期的に大きなプラスの効果をもたらす経営施策と捉えています。新ランダー『ULTRA』により、高度な品質と開発効率を求める顧客のニーズにしっかりと対応し、大胆な投資により月面開発を加速化させるNASAにも貢献できるものと考えます。月面輸送が高頻度なインフラの時代へと突入します。私たちもこの大きな潮流の中で、柔軟かつ大胆に事業構築を進めてまいります。」
会社紹介
「Expand our planet. Expand our future. ~人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ~」をビジョンに掲げ、月面資源開発に取り組んでいる宇宙スタートアップ企業。日本、ルクセンブルク、アメリカの3拠点で活動し、現在約350名のスタッフが在籍。
2010年に設立し、Google Lunar XPRIZEレースの最終選考に残った5チームのうちの1チームである「HAKUTO」を運営した。
月への高頻度かつ低コストの輸送サービスおよびデータサービスを提供することを目的とした小型のランダー(月着陸船)と、月探査用のローバー(月面探査車)を開発。民間企業が月でビジネスを行うためのゲートウェイとなることを目指し、新たに月周回の自社衛星を活用した、通信・測位を中心とするルナ・コネクトサービスの提供も目指す。
2023年には民間企業として世界で初めて月面着陸に挑戦するミッション1を実施。
2025年にはミッション2を実施し、月周回までの確かな輸送能力や、ランダーの姿勢制御、誘導制御機能を実証することが出来た。
最速2027年には新ミッション2.5として月周回衛星1基を月周回軌道へ投入することを予定。
2028年には、経産省のSBIR補助金を活用し、日本拠点が主導で開発を進めるランダーモデル「ULTRA(ウルトラ)」による新ミッション3(旧ミッション4)の打ち上げを予定しており、続く2029年には南極近傍への高精度着陸を目指す新ミッション4(旧ミッション6)の打ち上げを予定している。
さらに、米国拠点が主導する新ミッション5(旧ミッション3)(正式名称:Team Draper Commercial Mission 1)の打ち上げは2030年を予定しており、NASAが行う「アルテミス計画」にも貢献する計画。

