ispace、英国国立レスター大学と月面ラマン分光計ミッションに向けたペイロードサービス契約を締結

株式会社ispace(東京都中央区、代表取締役:袴田武史、以下 ispace、証券コード9348)と英国国立レスター大学は、ispaceが将来実施する月ミッションにおいて、ラマン分光計をペイロードとして搭載し、月面に輸送するためのペイロードサービス契約を締結したと発表しました。

本ペイロードは、ExoMarsミッションに向けて開発されたレーザー式分光計を応用したラマン分析分光装置です。今後はレスター大学を中心に、スペイン国立航空宇宙技術研究所(INTA)、アバディーン大学、RAL Space、バリャドリッド大学が連携して開発を進めます。

ExoMarsは、欧州宇宙機関(ESA)が主導する火星生命探査ミッションです。

この装置は、月面の分子組成を分析し、将来的に月面の有人探査を支える可能性のある資源を特定することを目的としています。宇宙資源利用を見据えた月面探査に向け、小型ランダーやローバーへの搭載を想定して設計されています。

ラマン分光計ミッションは、英国宇宙庁(UK Space Agency、UKSA)の Science and Exploration Bilateral Fund(二国間宇宙科学・探査ミッション資金プログラム)のもとで進められており、月面での分析に向けた科学観測機器開発の発展における重要な一歩と位置づけられています。

目次

ペイロード輸送と展開機構の開発

契約に基づき、ispaceは新ランダー「ULTRA」を用いてペイロード輸送サービスを提供します。ULTRAは、これまで2回実施した月ミッションで使用した RESILIENCE ランダーの設計を基盤とし、日米でそれぞれ開発していたシリーズ3ランダーと APEX 1.0 ランダーを統合して生まれた機体です。具体的な搭載ミッションの詳細は、今後決まり次第発表するとしています。

月面で高精度な表面分析を行うためには、ラマン分光計を月の砂(レゴリス)に極めて接近させる、あるいは接触させた状態で運用する必要があります。この要件を満たすため、ispaceとレスター大学は共同で、装置を月面の所定位置に精密に配置できる展開機構の開発を進めており、ランダーとローバーの双方での運用を目指しています。

今回の契約に向け、両者は2022年に支援表明(Letter of Support)を締結し、2024年にはペイロードサービス中間契約(iPSA)を締結していました。今回、正式なペイロードサービス契約の締結に至ったことで、月面物質の特性評価や将来的な宇宙資源利用に向けた取り組みが一段と前進するとしています。

関係者コメント

株式会社ispace 代表取締役CEO & Founder 袴田武史氏

「本ペイロードサービス契約を通して、ispaceはレスター大学との協力関係をさらに発展できることを大変嬉しく思います。レスター大学が有するラマン分光技術の知見と、ispaceの月面輸送および月面モビリティ技術を組み合わせることで、月資源の更なる理解と活用を目的とした将来のミッション実現に向けた基盤つくりを目指していきたいです。」

英国 宇宙担当大臣 Liz Lloyd氏

「ispaceとレスター大学による本合意は、世界トップクラスの学術的専門知識と商業的な挑戦が結びついた時、英国の宇宙科学が何を実現できるのかを示す素晴らしい例であり、日本との協力関係がさらに深まることを大変嬉しく思います。

月面の組成を分析し、高価値鉱物や揮発性物質、水氷といった資源を特定することで、このミッションは持続可能な月探査の基盤を築き、新たな経済圏を切り拓くとともに、この新興市場における英国の役割を強化していくものです。」

レスター大学 プロジェクトリード Dr. Hannah Lerman氏

「今回の合意により、ispaceとの協力関係がさらに前進することを大変嬉しく思います。ispaceは、新しくダイナミックなアプローチで宇宙ミッションの開発を推進しており、そのビジョンの一翼を担えることを光栄に思います。

これは、宇宙探査における新たなモデルとなり、レスター大学で開発された技術と能力を実証するための幅広い可能性を切り拓きます。有人探査ミッションの打ち上げが目前に迫る中、今回の合意は将来的な月への再訪に向けた重要な準備の一歩となります。」

株式会社ispaceについて

公式サイト
https://ispace-inc.com/jpn/

ispaceは「Expand our planet. Expand our future. ~人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ~」をビジョンに掲げ、月面資源開発に取り組む宇宙スタートアップ企業です。日本、ルクセンブルク、アメリカの3拠点で活動し、現在約350名のスタッフが在籍しています。

2010年に設立し、Google Lunar XPRIZE レースの最終選考に残った5チームのうちの1チームである「HAKUTO」を運営しました。月への高頻度かつ低コストの輸送サービスおよびデータサービスを提供することを目的に、小型のランダー(月着陸船)と月探査用ローバー(月面探査車)を開発しています。民間企業が月でビジネスを行うためのゲートウェイを目指し、自社衛星を活用した通信・測位を中心とするルナ・コネクトサービスの提供も見据えています。

2023年には民間企業として世界で初めて月面着陸に挑戦するミッション1を実施しました。2025年にはミッション2を実施し、月周回までの輸送能力やランダーの姿勢制御、誘導制御機能を実証したとしています。最速2027年には新ミッション2.5として月周回衛星1基を月周回軌道へ投入する予定です。

2028年には、経済産業省の SBIR 補助金を活用し、日本拠点が主導で開発を進めるランダーモデル「ULTRA(ウルトラ)」による新ミッション3(旧ミッション4)の打ち上げを予定しています。続く2029年には南極近傍への高精度着陸を目指す新ミッション4(旧ミッション6)の打ち上げを予定し、さらに米国拠点が主導する新ミッション5(旧ミッション3、正式名称:Team Draper Commercial Mission 1)は2030年の打ち上げを計画しています。NASAの「アルテミス計画」への貢献も見据えています。

注記

i 当該打ち上げ時期は2026年5月時点の予定であり、今後変更となる可能性があります。なお、ispace が補助対象事業として採択された SBIR(Small Business Innovation Research)制度の公募テーマ「月面ランダーの開発・運用実証」の事業実施期間は原則として2027年度とされており、SBIR 制度に基づく補助金の対象となるミッション3(旧ミッション4)は、当初2027年中の打ち上げとして経済産業省および SBIR 事務局と合意していましたが、2026年5月時点では社内の開発計画上、2028年内の打ち上げを見込んでいます。本変更については今後、関係省庁および SBIR 事務局と調整中の段階であり、最終的には経済産業省により正式に計画変更が認可されることとなります。

ii 2026年5月時点

iii 本米国ミッションは ispace が Team Draper の一員として NASA の CLPS タスクオーダー CP-12 に採択されているミッションであり、新スケジュール下での CP-12 実行に関しては NASA からの正式な承認待ちとなります。

宙クリップ

このページへの情報のご提供、内容への修正、削除依頼はこちらから

お名前
必須

このページの内容にかかわる権利を所有する方ですか?

メールアドレス
必須
ページURL
修正内容
必須
修正内容にかかわる URLなどがございましたら、お書き添えください。
修正内容に関わる資料などがございましたら、添付してください。
予期しない問題が発生しました。 後でもう一度やり直すか、他の方法で管理者に連絡してください。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次