ispaceは、タイの政府機関であるGISTDA(地理情報・宇宙技術開発機関)と、ライフサイエンス・ペイロードの開発に関する覚書を締結しました。タイ国内での開発を通じた人材育成と、将来的な月面実証の実現に向けた共同検討を進める内容です。
この発表は、2026年3月16日にタイ・バンコクで開催された日タイ宇宙産業協力フォーラムの署名式で行われました。

覚書の概要
| 締結先 | GISTDA(Geo-Informatics and Space Technology Development Agency) |
|---|---|
| 目的 | ライフサイエンス・ペイロードのタイ国内開発を通じたキャパシティビルディングと月面実証の検討 |
| ispaceの役割 | 自社の月着陸船にペイロードを搭載するための技術的インターフェース調整などを支援 |
| GISTDAの役割 | プロジェクトの計画立案、実施、評価を主導し、タイ国内の研究機関や企業との調整を実施 |
| 発表日 | 2026年3月16日 |
| 発表場所 | 日タイ宇宙産業協力フォーラム(タイ・バンコク) |
取り組みの背景
この協業は、タイ国内における教育や技術人材育成の強化を通じて、宇宙分野とライフサイエンス分野の研究・イノベーションを促進することを目的としています。タイ政府が主導する国家宇宙実験・探査プログラムの枠組みの中で、月面におけるライフサイエンス分野の研究や実証、さらに同国のアルテミス計画への参画加速も見据えています。
また、将来的な月面での持続可能な居住環境構築につながる基盤づくりも視野に入れ、ライフサイエンス分野に強みを持つタイ国内の知見や、選定されたパートナー企業との協力を通じて、ペイロード開発を促進するとしています。
なお、ispaceとGISTDAはこれまでに、mu Space and Advanced Technology Co., Ltd(mu Space)とともに、月面探査プログラム実施に向けた協業の覚書も締結しており、今回の合意はその協力範囲を広げるものと位置付けられています。
コメント
株式会社ispace 代表取締役CEO & Founder 袴田武史氏
「今回の覚書締結により、タイ国内におけるライフサイエンス分野の宇宙探査への進出に貢献できることを大変光栄に感じています。ispaceとして、タイ国産ペイロードの開発実現に向け、GISTDAの皆さまとの協力を一層深めるとともに、日本の産業界とも連携しながら、技術的・産業的な支援を着実に進めてまいります。」
GISTDA長官 Pakorn Apaphan氏
「タイは、日本企業との宇宙研究および実験に関する協力を開始する準備が整っています。今回の締結を皮切りに、宇宙探査における新たな可能性を切り拓くとともに、日本の宇宙産業との連携のもと、タイの技術力強化を図っていきたいです。」
会社紹介
「Expand our planet. Expand our future. ~人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ~」をビジョンに掲げ、月面資源開発に取り組んでいる宇宙スタートアップ企業。日本、ルクセンブルク、アメリカの3拠点で活動し、現在約300名のスタッフが在籍。2010年に設立し、Google Lunar XPRIZEレースの最終選考に残った5チームのうちの1チームである「HAKUTO」を運営した。月への高頻度かつ低コストの輸送サービスを提供することを目的とした小型のランダー(月着陸船)と、月探査用のローバー(月面探査車)を開発。民間企業が月でビジネスを行うためのゲートウェイとなることを目指し、月市場への参入をサポートするための月データビジネスコンセプトの立ち上げも行う。2022年12月11日には SpaceXのFalcon 9を使用し、同社初となるミッション1のランダーの打ち上げを完了。続くミッション2も2025年1月15日に打上げを完了した。これらはR&D(研究開発)の位置づけで、ランダーの設計および技術の検証と、月面輸送サービスと月面データサービスの提供という事業モデルの検証および強化を目的としたミッションであり、結果、ispaceは月周回までの確かな輸送能力や、ランダーの姿勢制御、誘導制御機能を実証することが出来た。2027年には、米国法人が主導するミッション3(正式名称:Team Draper Commercial Mission 1)の打ち上げを予定しており、ミッション1、2で得られたデータやノウハウをフィードバックした、より精度の高い月面輸送サービスの提供によって、NASAが行う「アルテミス計画」にも貢献する計画。さらに、2028年には、経産省SBIR補助金を活用し、現在日本で開発中のシリーズ3ランダー(仮称)を用いたミッション4の打ち上げを予定している。

