ispace、SpaceX『スターシップ』のペイロード搭載枠を確保し新たな月輸送サービスを開始

株式会社ispace(東京都中央区、代表取締役:袴田武史、以下ispace)(証券コード9348)は本日、従前より提供する自社ランダーULTRAを活用した月輸送サービスに加え、新たなサービスとして、SpaceXによるスターシップのペイロード(荷物)スペースを活用した月輸送サービスの提供を開始すると発表しました。世界が再び月を目指す時代を迎えるなか、同社は月面ペイロードを「統合・輸送・運用」する一体型のサービスを提供可能な「月アクセス・インテグレーター」へ事業内容を進化させると同時に、SpaceXとともに月面インフラ市場を加速度的に成長させることを目指します。

ispaceの新たな月輸送サービス

月面へ大容量ペイロードを輸送できる次世代大型ロケットの登場は、電力、通信、建設、データ、モビリティなどの月面インフラ整備を大きく加速させることが期待されています。こうした基盤インフラが月面に構築されることで、新たなインフラ事業への参入障壁が下がり、技術実証や探査、さらには商業利用を目的とした比較的小型のペイロード輸送需要が急速に拡大する見込みです。

今回、同社はSpaceXと契約し、最速2030年の月面着陸を目指すスターシップのペイロード・スペースのうち500kgを確保しました。このスペースを、500kg未満の比較的小型なペイロードの月面輸送ニーズを持つ顧客向けにグローバルで販売開始することを決定しています。販売にあたっては、各顧客のペイロード要求の整理や月面輸送に必要な品質管理を実施したうえで、同社が開発する専用の「モバイル・カーゴ・システム」内へ複数ペイロードを統合し、同システムを通じてスターシップとのインターフェース調整などのサービスを提供します。また、月面に着陸後は、ペイロードの月面展開や、月面での移動、および他インフラへのアクセスなどをスムーズに実現するための運用支援までを、モバイル・カーゴ・システムを通じて提供することを目指しています。これにより同社は、単なるペイロードの「月への輸送」にとどまらず、地球から月面をエンド・ツー・エンドでつなぎ、顧客ペイロードの「統合・輸送・運用」までを包括的なサービスとして提供する「月アクセス・インテグレーター」として事業形態を進化させていくとしています。

月アクセス・インテグレーターのサービス概念図

ispaceは、日本の宇宙スタートアップ企業として初めてSpaceXとのFalcon 9ロケットの打上契約を2018年に締結して以来、これまでに合計3機の打上契約を締結しています。2022年および2025年には、民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」として実施した2度のミッションにおいて、それぞれFalcon 9ロケットでランダーを打ち上げました。また、ispaceは日本・米国・欧州の各重点拠点に加え、直近ではサウジアラビア王国に拠点を設立し、グローバルな顧客獲得チームを大陸横断的に組成するなど、グローバル企業ならではの強みを有しています。こうした背景のもと、今回の取り組みは、500kg未満のペイロード・ニーズを持つ顧客が、ispaceおよびSpaceXと連携することで月面にアクセスできる機会を提供するものとしています。

同社は現在、自社で開発するULTRAランダーを使用した月面着陸ミッションを、2028年・2029年・2030年にそれぞれ3回計画し、準備を進めています。今回の発表により、自社が開発するULTRAランダーの活用にとどまらず、新たにSpaceXが開発するスターシップに搭載される同社のモバイル・カーゴ・システムを活用した月面輸送サービスの提供を事業ポートフォリオに加えることで、世界中で増加が期待される月面ペイロードのニーズを幅広く捉えることが可能になるとしています。

スターシップと同社のモバイル・カーゴ・システムを利用した輸送は、顧客にとって大容量で比較的低価格なメリットを追求しやすい一方、ULTRAランダーでの輸送は、より細やかな顧客ニーズ(タイミング・場所・環境・属性など)に即した高付加価値なカスタマイズ・サービスを提供可能となります。同社はこれらを組み合わせつつ、顧客ごとに最適な選択肢を提供することで、月面ペイロードの潜在需要を喚起し、月インフラ市場の加速度的な増大につなげることを目指します。

目次

株式会社ispace 代表取締役CEO & Founder 袴田武史のコメント

「SpaceXとの連携を通じ、スターシップのペイロード・スペースを活用した新たなサービスを提供できることを大変嬉しく思います。ispaceが目指す持続的な月面経済圏の実現には、スターシップのような大容量かつ比較的低価格な月面輸送が不可欠となります。ispaceは『月アクセス・インテグレーター』として、自社ランダーによる高付加価値な月面輸送とスターシップを活用した大容量の輸送機会を組み合わせ、世界中のお客様が月面にアクセスしミッションを実現するための窓口となることを目指します。」

SpaceX, Vice President of Commercial Sales, Stephanie Bednarek氏のコメント

「これまでSpaceXは、Falcon 9を利用してispaceの2度のミッションの打ち上げを支援してきました。今回その協力関係をスターシップへと拡大できることを、大変光栄に思います。ispaceが月アクセス・インテグレーターとして新たに提供するサービスは、小型ペイロードを月へ輸送するための機会を確保する上で重要な選択肢となります。今後もispaceおよびその先の顧客による月へのアクセスの拡大を支援していくことを楽しみにしています。」

株式会社ispaceについて

https://ispace-inc.com/jpn/

「Expand our planet. Expand our future. ~人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ~」をビジョンに掲げ、月面資源開発に取り組む宇宙スタートアップ企業です。日本、ルクセンブルク、アメリカの3拠点で活動し、現在約350名のスタッフが在籍しています。2010年に設立し、Google Lunar XPRIZEレースの最終選考に残った5チームのうちの1チームである「HAKUTO」を運営しました。月への高頻度かつ低コストの輸送サービスおよびデータサービスを提供することを目的とした小型のランダー(月着陸船)と、月探査用のローバー(月面探査車)を開発しています。民間企業が月でビジネスを行うためのゲートウェイとなることを目指し、新たに月周回の自社衛星を活用した、通信・測位を中心とするルナ・コネクトサービスの提供も目指しています。2023年には民間企業として世界で初めて月面着陸に挑戦するミッション1を実施。2025年にはミッション2を実施し、月周回までの確かな輸送能力や、ランダーの姿勢制御、誘導制御機能を実証することができたとしています。最速2027年には新ミッション2.5として月周回衛星1基を月周回軌道へ投入する予定です。2028年iには、経済産業省のSBIR補助金を活用し、日本拠点が主導で開発を進めるランダーモデル「ULTRA(ウルトラ)」によるミッション3の打ち上げを予定し、続く2029年iiには南極近傍への高精度着陸を目指すミッション4の打ち上げを予定しています。さらに、米国拠点が主導するミッション5(正式名称:Team Draper Commercial Mission 1)の打ち上げは2030年iiiを予定しており、NASAが進める「アルテミス計画」にも貢献する計画です。

注記

i 当該打上げ時期については2026年7月時点の予定であり、今後変更する可能性があります。なお、当社が補助対象事業として採択されたSBIR(Small Business Innovation Research)制度の公募テーマ「月面ランダーの開発・運用実証」の事業実施期間が原則として2027年度とされており、SBIR制度に基づく補助金の対象となるミッション3(旧ミッション4)は、当初2027年中の打上げとして経済産業省およびSBIR事務局と合意していましたが、2026年7月時点では当社内の開発計画上、2028年内の打上げとなる見込みです。本変更については今後、関係省庁およびSBIR事務局と調整中の段階であり、最終的には経済産業省により正式に計画変更が認可されることとなります。

ii 2026年7月時点。

iii 本米国ミッションは当社がTeam Draperの一員としてNASAのCLPSタスクオーダーCP-12に採択されているミッションであり、新スケジュールの下でのCP-12実行に関してはNASAからの正式な承認待ちとなります。

宙クリップ

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